「昇進8カ月で鬱病」管理職を襲う"感情労働"のリアル――理想の上司を目指した40代課長に生じたバーンアウト。そこから復活までの道のり
一方で、少しでも厳しいことを言えば「パワハラ」と受け取られかねない恐怖もあります。これが、上司と部下の間に壁を作り、当たり障りのない表面的なコミュニケーションしか生み出せない状況を作り出しています。
部下に気を遣い、会社からの業績目標に追われ、プレイヤーとしての成果も求められる。この「三重苦」が、現代の管理職を追い詰めているのです。
感情労働という名の重労働
「感情労働」という言葉があります。これは、アメリカの社会学者アーリー・ホックシールドが提唱した概念で、「他者の感情状態に影響を与えることを目的として、自らの感情を管理し、観察可能な表情や身体的表現として示す労働」と定義されています。
元々は、客室乗務員や医療・介護従事者、教員、心理職などの職種がそれに当たるとされてきましたが、今や管理職こそが、この感情労働の最前線に立たされているといえるでしょう。
内心では部下の未熟さにいら立ちを覚えても、決して怒りの感情を表に出さず、共感的な態度で接する。チームの士気を上げるため、自身の不安や疲労は微塵も見せず、常にポジティブなリーダーを演じ続ける。 部下の愚痴は延々と受け止める一方で、自身の弱音を吐き出す場所はどこにもない……。
これは、本心と、表に出す感情との間にズレが生じた状態で、このことを「感情的不協和」と呼びます。
この不協和が慢性化すると、自分自身の感情がわからなくなり、次第に自己肯定感を失っていきます。A氏のように真面目で、責任感が強く、「良い上司であらねばならない」という意識が強い人ほど、この感情労働の罠に陥り、知らず知らずのうちに心をすり減らしてしまうのです。
感情的不協和の末に待ち受けているのが、「バーンアウト(燃え尽き症候群)」です。これは、長期間にわたる過度なストレスの結果、心身のエネルギーが枯渇してしまった状態を指します。
バーンアウトには、3つの特徴的な症状があります。
2.仕事や他人に無関心になり、思いやりに欠けた態度を取る「脱人格化」
3.仕事に意味を見いだせず、無力感や自責の念に陥る「個人的達成感の低下」


















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