「昇進8カ月で鬱病」管理職を襲う"感情労働"のリアル――理想の上司を目指した40代課長に生じたバーンアウト。そこから復活までの道のり

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A氏のチームは新規開拓を担当しています。4人の部下を持つA氏は、それぞれの部下の営業に同行し、手取り足取り仕事を教え、悩みを聴き、励ましていました。また、1on1ミーティングでは、部下のプライベートな悩みも含め1時間にわたり耳を傾けていました。

「いつでも相談ウェルカムだよ」という彼の言葉は、チームの合言葉のようになっていて、そんなA氏に部下も徐々に心を開き始め、付き合っている相手の名前まで明かしてくれる人もいました。

しかし、課長就任からわずか8カ月後。A氏は「うつ病」と診断され、休職を余儀なくされたのです。

誰よりもエネルギッシュで部下思いだった理想の上司は、なぜ燃え尽きてしまったのでしょうか。これはA氏だけの特殊なケースではありません。現代の多くの管理職が陥る可能性のある、深刻な罠なのです。

管理職を追い詰める三重苦

現代の管理職は、かつてないほど複雑な人間関係の舵取りを求められています。特に、Z世代である若手社員とのコミュニケーションには、細心の注意を払わなければなりません。数年前から、「若手に厳しい指導をすると、心が折れ、辞めてしまう」などと言われるようになったからです。

転職が気軽にできる世の中になったこともあるでしょう。多くの職場では、若手が辞めないよう、優しく共感的に接するようになっています。

実際、かつての「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)」は、今や「お・ひ・た・し」――すなわち、「怒らない、否定しない、助ける、指示する」に変わっています。

まるで壊れ物を扱うかのように優しく接することが、「正しいマネジメント」であると言われるようになったのです。

そのことを反映するかのように、筆者が関わる会社のほとんどで、ストレスチェックにある「上司の支援」という項目の数値が年々良好になっています。

そもそも、管理職の多くは部下をまとめつつ、自身の仕事をこなさなければならないプレイングマネージャーです。

日中は会議に追われながら、部下の業務進捗を管理し、メンタルケアにも気を配り、1on1ミーティングで共感を示す。自分のタスクに取り掛かれるのは、オフィスが静まり返った定時過ぎ。今日も気づけば21時、冷めた夕食をかきこんで眠りにつくだけの日々を繰り返す――。そんな管理職の人たちもたびたび見かけます。

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