「ベネズエラ急襲撃」はロシアにとって追い風か/お互いさまの国際法違反だが、同盟国喪失とアメリカ軍の手際のよさで国内のプーチン批判高まる

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3つ目の要因はロシアに関わることだ。

当然の話だが、勢力圏確立の協議は「戦勝国間の取り決め」だ。ウクライナをロシアの勢力圏としてアメリカに認めさせるには、ロシアのウクライナに対する戦勝確定が前提となる。しかし、ウクライナの戦局は拮抗状態が続いている。ロシアが「戦勝国」と国際的に認められる状況では、とてもない。

実は、アメリカや欧州、ウクライナが呼び掛ける停戦にプーチンが応じない理由の1つもここにあるのだ。自国の勢力圏獲得のためには、まず「戦況を決定的に優位な状況に持っていくこと」がロシアにとって不可欠の要素だ。

ベネズエラ急襲でロシアでのプーチン批判高まる

さて、一方で今回のベネズエラ情勢を受け、ロシア国内でプーチンに対し、かなり強い逆風が吹いているのも事実だ。

まず今回の米軍の攻撃でマドゥーロが拘束され、アメリカに連行されたこと自体がロシアで衝撃をもって受け止められている。ロシアにとって、中南米で最大の同盟国の政権がアメリカによって事実上打倒されたことを受け、ロシアの愛国派勢力からプーチン政権に対し、強い批判が出ているのだ。

ロシアとベネズエラは25年10月に軍事、安全保障、エネルギー面などでの協力強化をうたった「戦略的パートナーシップ条約」を結んだばかり。その矢先でのマドゥーロ拘束だった。

おまけにロシアは軍事支援を拡大しており、25年末に電話会談で支援を訴えたマドゥーロに対し、プーチンが連帯と支援を約束したばかりだ。結果的にモスクワを頼ったマドゥーロをプーチンは助けられなかった。

プーチン政権は24年12月、長年後ろ盾となってきたシリアのアサド政権が崩壊に追い込まれる事態も、何もできずに見守るしかできなかったという屈辱を味わったばかりだ。

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