「ベネズエラ急襲撃」はロシアにとって追い風か/お互いさまの国際法違反だが、同盟国喪失とアメリカ軍の手際のよさで国内のプーチン批判高まる
さらに、ロシアにとって、より重要なポイントがある。トランプ政権との間で、米ロそれぞれが自国の「勢力圏」を有すると相互承認するシナリオが、浮上してきたことだ。
具体的には、ベネズエラを含めた西半球はアメリカの勢力圏、一方でウクライナ、さらにできれば、モルドバなど周辺の旧ソ連諸国はロシアの勢力圏であると宣言する展開が考えられる。
元々ウクライナ侵攻を開始したプーチンには、米ソ冷戦時代にあった、東西の勢力圏という国際秩序を再確立したい、という野望があった。
すなわち、1945年2月にアメリカとイギリス、ソ連の連合国3カ国首脳が、旧ソ連・クリミア半島(今はウクライナ領土)のヤルタに集まって、戦後欧州における、それぞれの勢力圏を決めた「ヤルタ会談」の例に倣って、現代版「ヤルタ2.0」を開催しようというものだ。
「ドンロー主義」と「ヤルタ2.0」
これまでは、ウクライナはもちろん、米欧もこの勢力圏分割には応じていなかったが、今回のトランプ政権の行動を受け、しぼみかけたこの勢力圏確立構想が動き出すかもしれない、とクレムリンは色めき立っている。
この背景には、トランプ政権が25年末に公表した「国家安全保障戦略(NSS)」がある。ここでトランプ政権は、欧州とアメリカの相互不干渉をうたった19世紀アメリカのモンロー主義の復活を宣言した。
具体的には西半球におけるアメリカの軍事・経済的覇権を宣言し、この地域から中国やロシアなどの権益を排除することを目指している。いわば、西半球がアメリカの「裏庭」であると内外に再び宣言した形だ。
今回のベネズエラ攻撃はこの新戦略の実行第1弾だ。モンロー主義復活を意味するアメリカの新戦略はトランプのファースト・ネームであるドナルドと組み合わせて「ドンロー主義」とも呼ばれている。



















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