ペットショップで選ばれる犬は、人懐っこく月齢の若い子ばかり。4カ月、5カ月と体も大きくなり幼さも薄れ、すでに子犬と呼べなくなったような子は、窮屈そうにガラスケースのなかでストレスをためている。
あの子たちは一体どうなっていくのだろう。その先をみな、考えないようにして通り過ぎていく。いつの間にか店頭からいなくなり、ある日突然若く小さな子犬に入れ替わっている。
しかし、山村さん一家は、全員一致でかーくんを選んだ。
案の定、いざ迎えてみるとかーくんは、ケージを置いている部屋の扉を開けるだけで威嚇した。体を思いっきり広げ、口を大きく開けて「カーッ!」と喉を鳴らす。絵に描いたような「威嚇」の表現もまた、コミカルでかわいらしい。
怒られつつもできるだけかーくんを怖がらせない距離で、山村さんはお世話を続けた。近づいても威嚇されないようになるまでに、3、4カ月はかかったという。
「かーくんに限らず、カメレオンは新しいものが大好きなんです。部屋に散歩ルートを作ってあげようと、枝を吊るしたりロープを張ったりしていたら、すぐ近くまで寄ってきて、ずーっと僕の作業を見守ってくれました。かーくんは特に賢い子でしたね」
一緒に過ごす時間は短くても、失う痛みは家族と同じ
かーくんと出会って、カメレオンの魅力を知った。しかし、かーくんとの暮らしは2年半で終わりを告げた。直接の死因は結局わからないまま。
「正直、失うのがここまでつらいとは思いませんでした。打つ手がなかったのが一番つらかったですね。犬や猫の病気なら、原因やそれに対する処置方法もわかるのに、原因も、対処法もわからなかった。
あのときもっとこうしていたら……という思いがぐるぐる頭を巡ってしまって。犬や猫と同じ、家族を失うほどの心の痛みを感じました」
後編へ続く→「体調悪くても一生懸命生きようと……」診てくれる病院が少ないカメレオンの飼育。<初期費用20万、毎月1万>、犬猫並みの覚悟を要する現実
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