「仲が良い」のに成果が出ないチームの共通する1つの理由

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本書では、合意形成にかかる負荷を次の数式で定義しています。

F(合意形成コスト)=μ(摩擦係数)×N(合意内容の複雑さ)

組織の摩擦μを下げるには、単に話しやすいだけでなく、メンバーの頭の地図を一致させ、情報の解釈のズレをなくさなければなりません。共有認知が揃ったチームでは、一言伝えただけで意図が正確に伝わり、確認のためのメールや会議が劇的に減ります。この地図を揃えるためには、以下の4つのレイヤーで情報を整理することが有効です。

①目的と物語

「なぜこれをやるのか」というWHYを、腹落ちするストーリーとして共有する。

②目標と報酬

部門ごとの目標や評価基準を見える化し、数字の解釈を共通化する。

③役割と権限

誰がどこまで決めるのかを明確にし、ボールが宙に浮く時間を減らす。

④情報インフラと共通言語

用語の定義を揃え、誰もが単一のソースを指差せる状態を作る。

失敗を通じて共有認知を更新し続ける

共有認知を深める最も強力な実践は、失敗をチームの教訓へと昇華させることです。

単なる犯人探しではなく、「未来に同じ状況が来たらどう対応するか」という具体的な行動指針を書き出す。失敗を摩擦ではなく推進力に変え、地図の危険標識としてチーム全体で共有するのです。

マネジメントが罰ゲームになってしまう真の理由は、リーダーの資質ではなく、この「地図のズレ」から生じる見えない摩擦にあります。仲が良いだけのチームを、自律的に成果を出し続ける組織へと変える。その鍵は、心理的安全性だけではなく、情報の共有認知をアップデートし続ける技術にこそあるのです。

堀田 創 Hajime Institute/株式会社シナモン創業者
ほった はじめ / Hajime Hotta

AI研究者・認知科学研究者。AI関連研究で博士号取得後、連続起業家として活躍。シリウステクノロジーズ(ヤフーにより買収)のChief Scientistを務め、ネイキッドテクノロジー(ミクシィにより買収)の創業・売却後、Cinnamon AIおよびNexus FrontierTechを設立。技術に立脚したビジネスをゼロから立ち上げ、成長・拡大・売却へと導いてきた実績を持つ。現在は、最先端のAI研究と認知科学の橋渡し役として、企業が「認知的AI」を通じてビジネス価値を最大化できるよう支援している。著書に『マネジメントの原点――協働するチームを作るためのたった1つの原則』(東洋経済新報社)、『チームが自然に生まれ変わる――「らしさ」を極めるリーダーシップ』『ダブルハーベスト――勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン』(ともに共著、ダイヤモンド社)がある。

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