認知症で「自宅が売れない」悲劇を回避 おひとりさま・事実婚でも使える≪家族信託≫の威力

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もう少し説明しましょう。法的に婚姻関係にない事実婚カップルや同性カップルでも「たすき掛け信託」を活用すれば、お互いを受託者に設定することができます。たすき掛け信託とは、法律上の配偶者でなくても、双方が自分の財産を相手に託し合う形で結ぶ家族信託です。

例えば、家族信託で「お互いを受託者に指定する」「残余財産を承継させる」といった内容の信託契約を結ぶことは可能です。さらに、「信託契約」に加えて「遺言」「死後事務委任契約」を併用することで、老後の財産管理から死後の手続きまでをカバーし、安心して暮らせる仕組みを作ることができます。法制度が追いつくまで待つのではなく、「今できる備え」として検討されるケースが増えています。

家族信託が向いていないケースもある

もちろん、すべての人に家族信託が適しているわけではありません。

例えば、次のようなケースでは、家族信託を無理に使うことで、かえってトラブルを招くこともあります。

・家族間の関係が極端に悪い
・受託者を任せられる人がいない
・財産が非常にシンプルで、管理の必要性が低い

制度はあくまで「手段」。自分たちの状況に合っていなければ、意味を持ちません。

家族信託を考えるときに大切なのは、「元気なうちに、家族としっかり話す」ことです。

・誰に財産を託したいのか
・どんな老後を送りたいのか
・もしものとき、誰に支えてほしいのか
『生前対策が全然わかっていない親子ですが、 家族信託って結局どうすればいいのか教えてください!』
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これらを言葉にしておくこと自体が、将来の不安を減らす第一歩になります。

家族信託は、多様な生き方・家族のカタチに対応できる数少ない仕組みのひとつです。

知っているか、知らないか。

考えたことがあるか、ないか。

その差が、将来の選択肢を大きく分けることになるかもしれません。

家族のカタチが多様化する今だからこそ、自分の未来を、自分で設計するための選択肢として、家族信託を知っておいてほしいと思います。

佐伯 知哉 司法書士・宅地建物取引士

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さえき・ともや / Tomoya Saeki

司法書士法人 さえき事務所代表。東京司法書士会所属。
1980年生まれ。高知大学理学部卒業。オーストラリアでダイビングインストラクターの資格取得後、パラオ共和国でガイドインストラクターとして活動。帰国後、心機一転して司法書士をめざし、2013年東京都町田市で独立開業。2017年には 南町田へ事務所を新設して移転。主な専門分野は、相続・認知症対策(生前対策)コンサルティング、遺産相続コンサルティング、家族信託、生前対策・遺産相続手続きの代理サービス、相続不動産の売却代理サービス。YouTubeチャンネルを2020年にスタート。2025年10 月現在、登録者数1.5万人を超え、388本の動画を上げる。趣味は筋トレとキャンプ。近著に『不動産を受け継いだら「相続登記」を急ぎなさい』(幻冬舎ゴールドオンライン)がある。

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