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金を買うのは「世界への悲観」に賭けることだ/「有事の金」に隠された不都合な真実とは?

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  • 大竹 文雄 大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授
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「しかし、世界情勢は確実に悪化している。だから金はまだ上がるのではないか」――そう反論したくなるかもしれない。

ここで思い出してほしいのが、効率的市場仮説で語られる「道に落ちている1万円札」の例え話である。道に落ちている1万円札は、落ちる前に誰かが拾っている。

ウクライナ情勢や台湾リスク、インフレ懸念といった情報は、すでに世界中の投資家が知っている。現在の金価格は、そうした既知のリスクをすべて織り込んだ結果として形成されているのである。

いま金を買って大きな利益を得るシナリオは、実は1つしかない。それは、市場がすでに想定している「悪い未来」よりも、さらに悪い事態が起こることである。

つまり、いま金を買うという行為は、「世界は、みんなが思っている以上に悲惨な方向へ進む」という悲観的シナリオに賭けることを意味する。それは資産形成というより、世界情勢への投機に近い。

金が魅力的に見える心理的メカニズム

それでも金が魅力的に見えるのは、私たちの認知バイアスが関係している。

行動経済学が明らかにした損失回避によれば、人は同じ金額でも利得より損失を約2倍強く感じる。不安なニュースが流れるたびに、「資産が目減りするかもしれない」という恐怖が増幅され、「安全資産」という響きを持つ金に惹かれてしまう。

また、直近バイアスも働いている。「金価格が最高値を更新」というニュースを見ると、人は直近の上昇トレンドがこれからも続くと錯覚しやすい。

しかし、過去の価格上昇は、将来の上昇を何ら保証しない。むしろ、すでに大きく上昇した後に買うことは、高値掴みのリスクを高めることになる。

仮に、最近の金価格上昇で利益を得た人がいたとしても、それを「自分の判断力が優れていた証拠」だと考えるのは危険である。行動経済学が警告する自己帰属バイアスは、偶然の成功を実力だと錯覚させる。「自分には相場を読む才能がある」という過信は、次により大きな賭けに出ることを正当化し、長期的に資産を毀損する典型的なパターンを生む。

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【インデックスファンドを「主食」にする理由】

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