「この悔しさは一生忘れない」50代非正規公務員はなぜ雇い止めにあったのか――仕事一筋10年。彼女が受けた"クビハラ"横行の実態

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労働局による雇い止め後は、今度こそ正社員にと意気込んだが、難しかった。数カ月間にわたって就職活動を続けたものの、「やっぱり非正規公務員に戻るしかありませんでした」。

新たな職場では、幸い給与水準は維持することができている。

ミチコさんの仕事ぶりを見た上司からは早速「長く働いてほしい」と言われたが、なんら保証はない。再び雇い止めにされる前に社労士試験に合格したいところだが、慣れない仕事は覚えることが多く、勉強時間が取れないのが悩みだという。

老後には不安しかない

ミチコさんは自身の半生を「正社員になるチャンスを求め続けてきました」と振り返る。

女性も経済的に自立するものだと考えているうちに、今も独身のままだと笑う。焦りはないが「“おひとりさま”の老後には不安しかありません」。

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最後はがん闘病中だった労働局の元同僚とのエピソードで結ぼう。

女性の就職活動はミチコさん以上に難航。ときどき連絡を取ると、「病気のことを話すと落とされる」「労働局をあんな形で追われたことが悔しい」と肩を落としていたという。

やがて音信が途絶え、一昨年、亡くなったことを知った。後日、家族から女性がよく「ミチコさんにはお世話になった」と話していたと聞いた。一方で女性はこんな言葉も残したという。

「労働局の人には私が死んだことは言わないで。だれにもお墓には来てほしくない」。20年近く尽くした職場に、最期に示した意思である。

本連載「大人の貧困 『雇用の谷間』でもがくミドルエイジ」では、生活苦に陥った就職氷河期世代(40代~50代半ば)の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別にご連絡させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。
藤田 和恵 ジャーナリスト

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ふじた かずえ / Kazue Fujita

1970年、東京生まれ。北海道新聞社会部記者を経て2006年よりフリーに。事件、労働、福祉問題を中心に取材活動を行う。著書に『民営化という名の労働破壊』(大月書店)、『ルポ 労働格差とポピュリズム 大阪で起きていること』(岩波ブックレット)ほか。

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