「この悔しさは一生忘れない」50代非正規公務員はなぜ雇い止めにあったのか――仕事一筋10年。彼女が受けた"クビハラ"横行の実態

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一方で、私はこれまで、理不尽に雇い止めにされた複数の期間業務職員に取材したが、彼らは「3年公募は気に食わない職員を辞めさせるための制度」と口をそろえる。ハラスメントを訴えたり、仕事について意見したりすると雇い止めになるというのだ。

確かに取材では、長年働いてきた職場でセクハラやパワハラを訴えた途端、雇い止めにあった人もいた。上司のミスや法令違反を指摘すると、「嫌なら辞めてもよい」「うるさい人はクビにする」など、雇い止めをほのめかされたという訴えも聞いた。

ある職員は「二言目にはクビをほのめかされる。雇用継続を脅しに使うハラスメントはまるで“クビハラ”です」と批判する。

公募には職員の質を保つ目的もあるのだろう。しかし、能力も実績もある職員を一律に公募にかける必要があるのか。人事院は「平等取扱い」というが、期間業務職員が担うのは基幹的な業務であり、その収入で生計を立てている人も多い。

実は人事院は、人材の流出につながりかねないとして、2024年、3年公募の撤廃を決めた。ただ1年任期は変わらない。「毎年雇い止めにおびえることになるのでは」という懸念の声もあり、雇用の安定につながるかは、今後の運用次第だ。

ミチコさんはなぜ雇い止めに?

ミチコさんに話を戻そう。

10年以上、順調に任用更新されてきた彼女は、なぜ雇い止めにされたのか。改めて考えてみると、ミチコさんには心当たりがあるという。がん闘病中の同僚が雇い止めにされそうになるのを見て、声を上げたのだ。

同僚は勤続20年近い女性で、同じく公募を控えていた。

ある日、女性が泣いているのに気が付いたミチコさんが理由を尋ねると、「抗がん剤治療の日程と重なるので、ハローワークに行けない」と上司に伝えたところ、「応募できないなら、(任用は)終わり」と告げられたのだという。

厚労省は現在、まさに病気治療と仕事の両立支援のための指針を作成中だ。病気を理由にするかのような雇い止めはおかしい。そう考えたミチコさんは、自身も加入していた労働組合・全労働省労働組合に相談するようアドバイス。

その後、労組から指摘を受けたとみられる上司は女性の応募までは認めたものの、選考で不採用とした。

「今になって考えると、同僚も、労働組合に行くよう教えた私のことも、最初からクビにすると決めていたんだと思います」

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