だが、聞いていると改修には時間がかかり、労力もかかった様子。大量の残置物があり、しかも前面道路は車が入らない路地。モノはすべて人力で運ぶしかなく、物件から公道まではかなりの距離。最近ではモノを捨てるにもお金がかかり、それだけでも数十万円かかった。
それにそもそも家一軒分の改修となると作業量は半端ではない。基礎の耐震補強などについてはプロの大工さんに依頼したそうだが、それ以外を自分でやり切れたのはスウェーデンのセルフビルドの文化が背景にあったからだろう。スウェーデンでは学校でも木工などで家に手を入れる技を学ぶ時間があり、家庭では親子でDIYを楽しむのが一般的とか。
日本の義務教育でも図画工作の時間はあるものの、どちらかといえば創造性や感性を養うという意味での時間であり、実務を学ぶ、生きていく力を付けるための時間ではない。そのあたりの違いが空き家への接し方の違いにつながっているのかもしれない。
自分でできることをやろうという姿勢はDIYだけに限らない。アントンさんは1軒目の登記も自分で行うなど、「できることは自分でやる」を徹底している。
加えて日本人以上に隣近所と密な関係を築いており、最近ではご近所さんから家の修繕の相談を受けたり、風呂が故障した隣人には風呂を提供(!)することもあるほど。
「改修時には音が出ますし、モノの搬出入では周囲の人たちの出入りの邪魔になるなどご近所に迷惑をかけることもあるのでお付き合いは最初の時点から大事にしています。その結果、最近ではご近所の人から持っている不動産をどうにかしたいなどという相談を受けるようにもなりました」(アントンさん)
400万円で取得した家を1000万円かけて改修中
改修事例がYouTubeなどを通じて知られるにつれ、ご近所さん以外からの相談も増え、中にはまだ市場に出ていない物件の相談なども。そうしたものを活かすため、いずれは不動産仲介も手がけてみたいと考えている。
だが、現在はそれ以上に廃墟の再生が楽しく、この1年ほどは千葉県の大多喜町で15年間放置されていた空き家をいじっている。
「登記のない、再建築不可、浄化槽もなく、水道も来ていないという物件ですが、土地面積は2200㎡と広く、しかも川のすぐ隣という素晴らしい環境に立地。建物も雨漏り、シロアリ被害、傾きもないという良い状況で基礎もしっかりしています。今後、内部は全部手を入れ、自分で使うプラス宿にしてサウナも作ろうと考えています」(アントンさん)
価格は半額にしてもらって約400万円。ただし改修には1000万円ほどかかる計画だそうで、これを高いと考えるか、安いと感じるか。そもそも、この物件の条件をマイナスだらけと思うか、すごいプラス!と受け止めるか。
空き家を安価で手に入れて再生したいという話はよく聞くが、こうした条件の不動産をどう感じるか。それによってその人が空き家再生に向いているかどうかが分かるような気がするがどうだろう。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら