東京23区でも売れなかった"四重苦"の空き家が人気宿に!《DIYで再生、北欧出身モデルの手腕》「ボロボロの建物をかっこよくするのが面白い」

✎ 1〜 ✎ 13 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

だが、聞いていると改修には時間がかかり、労力もかかった様子。大量の残置物があり、しかも前面道路は車が入らない路地。モノはすべて人力で運ぶしかなく、物件から公道まではかなりの距離。最近ではモノを捨てるにもお金がかかり、それだけでも数十万円かかった。

アントンさんが以前手掛けた一戸建ての改装前
アントンさんが以前手がけた一戸建ての改装前。モノは運び出してあるが、こんな状況から工事する(写真:アントンさん提供)

それにそもそも家一軒分の改修となると作業量は半端ではない。基礎の耐震補強などについてはプロの大工さんに依頼したそうだが、それ以外を自分でやり切れたのはスウェーデンのセルフビルドの文化が背景にあったからだろう。スウェーデンでは学校でも木工などで家に手を入れる技を学ぶ時間があり、家庭では親子でDIYを楽しむのが一般的とか。

日本の義務教育でも図画工作の時間はあるものの、どちらかといえば創造性や感性を養うという意味での時間であり、実務を学ぶ、生きていく力を付けるための時間ではない。そのあたりの違いが空き家への接し方の違いにつながっているのかもしれない。

床を作り直すDIYの様子
床を作り直すところからDIYをスタートすることも多い。基礎など躯体部分については大工さんに入ってもらったそうだ(写真:アントンさん提供)

自分でできることをやろうという姿勢はDIYだけに限らない。アントンさんは1軒目の登記も自分で行うなど、「できることは自分でやる」を徹底している。

加えて日本人以上に隣近所と密な関係を築いており、最近ではご近所さんから家の修繕の相談を受けたり、風呂が故障した隣人には風呂を提供(!)することもあるほど。

「改修時には音が出ますし、モノの搬出入では周囲の人たちの出入りの邪魔になるなどご近所に迷惑をかけることもあるのでお付き合いは最初の時点から大事にしています。その結果、最近ではご近所の人から持っている不動産をどうにかしたいなどという相談を受けるようにもなりました」(アントンさん)

宿泊施設として運用している三軒茶屋の物件のキッチン
改修後、現在は宿泊施設として運用している三軒茶屋の物件のキッチン(写真:アントンさん提供)

400万円で取得した家を1000万円かけて改修中

改修事例がYouTubeなどを通じて知られるにつれ、ご近所さん以外からの相談も増え、中にはまだ市場に出ていない物件の相談なども。そうしたものを活かすため、いずれは不動産仲介も手がけてみたいと考えている。

だが、現在はそれ以上に廃墟の再生が楽しく、この1年ほどは千葉県の大多喜町で15年間放置されていた空き家をいじっている。

千葉県の物件
アントンさんが現在改修に励んでいる千葉県の物件。広い敷地の中に立地。秋には紅葉が美しかった(写真:アントンさん提供)
千葉の物件
(写真左)アントンさんの千葉の物件は「浄化槽なし、水道なし」とライフラインには難があり、費用もかかるがそれ以上の魅力があるという/(写真右)内装を改修中の千葉の物件。作業内容は多岐にわたるが、かっこよくなりそうだ(写真:アントンさん提供)

「登記のない、再建築不可、浄化槽もなく、水道も来ていないという物件ですが、土地面積は2200㎡と広く、しかも川のすぐ隣という素晴らしい環境に立地。建物も雨漏り、シロアリ被害、傾きもないという良い状況で基礎もしっかりしています。今後、内部は全部手を入れ、自分で使うプラス宿にしてサウナも作ろうと考えています」(アントンさん)

価格は半額にしてもらって約400万円。ただし改修には1000万円ほどかかる計画だそうで、これを高いと考えるか、安いと感じるか。そもそも、この物件の条件をマイナスだらけと思うか、すごいプラス!と受け止めるか。

空き家を安価で手に入れて再生したいという話はよく聞くが、こうした条件の不動産をどう感じるか。それによってその人が空き家再生に向いているかどうかが分かるような気がするがどうだろう。

次ページ建物の古さと北欧風のインテリアがマッチ
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事