75歳からは、昼間に生活する場所(リビングなど)と寝室、水回り(トイレや浴室など)の3つは同じ階にまとめて、生活動線を短くすると移動の負担が減り、億劫にならない。
勾配が急だったり、階段の降り口が三角形の踏み板になっている廻り階段は、転倒・転落リスクが高い。足が悪くなり、上下階の移動が困難になると上の階を使わなくなり生活空間も狭くなってしまう。
階段のリフォームは間取りに影響するような大きな工事になることが多く、費用も高額になるため、若い人でも家を購入する段階で上記のような階段リスクは排除しておきたい。
手すりを両側につけられるような階段幅をとっておくといいが、それが難しい場合は、降りるときに利き手になる側だけでも手すりがあれば安心だ。
吉田さんは、機種や価格帯の選択肢が増えているホームエレベーターの検討もすすめる。
「垂直移動のエレベーターならば、年を取っても2階を生活空間として使い続けられます。リフォームの場合は上下階の同じ場所の床を抜く必要がありますが、押し入れや納戸、吹き抜けなど“スペースのへそくり”があれば設置可能です。
若いうちの住宅購入や50代でのリフォームの時点では必要なくても、いずれ設置したいと考えるならば、あらかじめ上下階の設置場所を決めてその部分を納戸にしておけば、スペースが無駄になりません」
手すりだらけにする必要はない
最後に手すりだが、移動や立ち座りの際の安全・安心を確保するために必要なもので、シニアのためのリフォームではとにかくたくさん設置しがちだ。
だが、「どこにでもつければいいというものではない」と吉田さん。
手すりは“動作が変わるところ”にあればいいのだという。たとえば、トイレは、座ったり立ち上がったりする便器のそば。浴室は、浴槽をまたぐときに手をつく場所。玄関は、土間から室内に上がる上がり框(かまち)に。
「医療関係者や福祉関係者の方たちは、狭い部屋でもあらゆるところに手すりや突っ張り棒をつけるんですね。ただ、どうでしょう。私だったら、パッと部屋を見たときに、手すりだらけだったら気が滅入りますよね。ああ、自分はこんなに手すりがなければダメなんだなって」


















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