高齢者の住宅リフォームで《"手すり"だらけにする人》の盲点…50代から意識すれば"老後が安泰"な「まず優先すべき3つのこと」

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これまでも、理事を務める一般社団法人ケアリングデザインを通じて『Good Over 50’s(グッド・オーバー・フィフティーズ)』というテーマで情報発信をしてきた。

「50代は子どもの自立や住宅ローンの完済などを機に、家のリフォームをする人も多いですよね。ぼちぼち老化も始まってくるし、老いていく親の暮らしも見ています。50代のリフォームは30年後の暮らし方を作る肝になります。年を取ったときに住まいとの関係はどう変わっていくのかを知り、長い老後をどう暮らしていくか真剣に考えてほしいのです」

吉田さんによれば、シニアの住まいと暮らしには3つの段階があるという。

65~75歳の「自立期」:前期高齢者になり多少の健康上の不安を抱えても、趣味や外出を楽しみ、今まで通りの暮らしを継続できる。
75~85歳の「そこそこ自立期」:身体機能の低下、配偶者の死など心身の変化があるが、介護サービスの利用や自宅改修など工夫しながら暮らせる。
85歳以上の「低自立期」:歩行や排せつに困難が生じ、家事や外出が億劫になる。暮らし全般の自立が難しくなり、自宅を出て施設に入居する人も増える。

「若い頃であれば、多少自宅の使い勝手に不便があっても、自分を合わせることができますが、高齢者はそうはいかない。低自立期に向かうほど、自宅は生きるために非常に重要な舞台になっていきます」

吉田紗栄子さん
1級建築士でバリアフリーコンサルタントの吉田紗栄子さん、82歳(写真:吉田紗栄子さん提供)

「シニアのリフォーム」優先するならどこ?

シニアの住まいは安心・安全で居心地のいいことが第一条件。そのためのリフォームでは、「トイレ」「階段」「手すり」の3カ所が非常に重要になってくる。

まずは、トイレだ。年を取ると夜中に何度かトイレに起きるため、寝ぼけ眼でつまずいたり、寒い季節にヒートショックになったりしないように、トイレは寝室の近くに配置し、断熱性を高めることが必要である。

リフォーム
段差をなくし、3枚引き戸にリフォームしたトイレ。全開すれば車椅子も楽々だ(写真:吉田紗栄子さん提供)

一戸建ての場合は寝室に一間の押入れがあれば、トイレを増築することができる。

マンションの場合、増築は難しいが、寝室とトイレの間にある部屋や壁を抜いて寝室からのアクセスを短くする。

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