「NISAなんかせずとも良し」、庶民が選ぶべき"最も確実で安全"な資産の守り方は?格差社会を生き抜くために「リスク」は不要

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仮に若い人が、十万円をNISAに預けたとして、数年後にいくらか利益が出たとしてもせいぜい数千円くらいのものでしょう。でも、どうかすれば投資は損することもあり得る。投資信託のようなものは、かならず「場合によって元本を割ることがある」という注意書きがついています。それはそうでしょう、投資なのですから。

それでも、若い人たちが、せいぜい働いて始末して、着々と毎月積み立てていくとしたら、将来には、時間が大きく利することもあるかもしれぬとは思いますが、それはあくまでも春秋に富む若い人たちのこと、翻って、我々老人はこの先何年健康でいられるのでしょうか。

元手が少ない人がいくら投資をしても、たいして儲かりはしません。西鶴が「銀がかねをためる世」と看破したとおりです。元手が沢山あって、しかもその金は生活には当面必要ない資金であれば、それは何百万か何千万かを投資に宛てるのは当然です。ろくに利子も払わず、手数料ばかり取る銀行にただ置いておくのは損失です。しかし、若い人が、少ない収入のなかから、またNISAに何万円か投資するとなると、これはただでさえ少ない手元金がますます貧しくなるというだけのことで、それで微々たる投資の利益が出たとしても、そのとき物価がそれを上回っているかもしれません。

ましてや私ども老人にとっては、これからの老後資金は「虎の子」です。いつまで元気でいられるか、いつまで生きているか、それはまったく分かりません。それなのに、十年後、二十年後に儲かるなんて夢のようなことを考えても空しい限りです。

それゆえ、私は、老いの日々のなかでは、投資などはしない、と断然決めています。それよりも、日々始末倹約しながら、できるだけ確実な定期預金にでもして、それを減らさないように暮らす、というのがやはり正解なのだと、少なくとも私は確信しています。

もし幸いに、あなたが何億円かの遊休資産をお持ちなのであれば、それはどうぞ投資して子孫のためにとっておいてください。

しかし、「ささやかな暮らし」こそ、老後にもっとも望ましい暮らし方で、この際、一獲千金を夢見て投資などするものではありません。それは証券会社や銀行を儲けさせるだけだと、私は思っています。

確実で安全な老後の資金作り、やっぱりこれが正解

投資を勧める専門家は、経済がインフレになれば貨幣価値が下がり、預貯金の価値も目減りすると言いますが、はたして政府の言うようにインフレ誘導なんてことが成功するかなあ、と私は大いに眉に唾をつけて見ています。なぜと言って、日本はもう、どんどん人口が減り、経済が年々歳々シュリンクしています。有り体に言ってしまえば、どんどん貧乏な国になってゆきつつあるわけです。

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