なお、今回の新春号では、各企業の通期計画に対する直近四半期の営業利益の進捗率も掲載しています。四季報の業績予想と記事に加えて、この四半期進捗率を見ていただくと、より企業の足元の業績がどのような状況にあるかが、よりおわかりいただけるかと思います。
今回注目したい「再増額」銘柄
――そんな新春号ですが、今回の号について、編集長が注目したポイントはありましたか。
はい、まず1つ目が「再増額」です。前回の「秋号」(9月発売)では、年初の会社計画よりも業績が上振れると四季報が予想、見通し数字を増額している企業が多数ありましたが、今号の「新春号」でさらに増額する「再増額」企業が目に留まりました。
3月期決算企業の場合、秋号は第1四半期決算の内容を取材してまとめる内容、今回の新春号が中間決算までの内容を取材してまとめる内容となります。この2号連続で増額予想がされたということは、出足で好調だった企業の勢いが持続したケースがそれなりにあったということです。
その勢いはどれほどなのか、今後もどこまで続くのか。新春号を読む際、「再増額」という見出しやワードに注目してみると、興味深い発見があるかもしれません。
――株価が上がりそうな銘柄を探している投資家には、チャンスになる情報もありそうですね。その「再増額」ですが、業種や個別企業でいくと、どんなものがあったでしょうか。
たとえば、光ファイバー事業を展開するフジクラ(5803)。データセンター関連という点で昨今話題の企業です。この会社について、四季報は前号の秋号において会社計画数字を上回ると増額予想していましたが、その後に実際、会社側は見通し数字を上方修正しました。そして今回の新春号でも四季報は、その会社側が増額した数字をさらに上回ると予想、増額しています。つまり「再増額」をしたということです。
――予想数字をめぐって、会社と記者さんが追いかけっこするような、そんな状態なわけですね。いずれにせよ業績が好調ということが伝わってきますが、そこはやはりデータセンター、AI関連の需要の高さが背景にあるということでしょうか。
光ケーブルや部品がデータセンター向けに非常に勢いがあり、会社の下期の想定が保守的だというのが会社四季報の見立てです。
日米の戦略的投資の覚書に基づく、アメリカ商務省との枠組み合意も注目ポイントです。日米の戦略的投資は「エネルギー」「AIインフラの強化」など4つの投資分野を掲げ、全体の事業規模は約4000億ドル(約60兆円)とされましたが、フジクラは光ファイバーケーブルの供給者に選定されています。
――なるほど。興味深いですね。そのほかにも四季報が再増額している企業はありましたか。
今号ではほかには、大成建設(1801)が目に留まりました。建設・ゼネコン各社は、人件費や資材の高騰といったコスト高問題を抱えていますが、一方で昨今、受注時の採算を重視する姿勢への転換が進み、従来より利益が確保できるようになっている。それが今期、決算数字に出てきています。また、半導体工場やデータセンターなどの受注環境も好調で、売上高が好調な会社も多くあります。
当初の設計段階にはなかった「追加工事」が発生し、業績に貢献しているというのも注目のポイントです。追加工事を獲得できると、受注時のような競合との価格競争がないので、そのぶんは高い利益率が確保しやすくなります。


















