2位と1億円以上の差…「藤井聡太氏の凄み」プロ棋士のシビアな懐事情 「対局料の2割は20年後に払う!?」 かつての将棋界に実在したシステム

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現在では各棋戦独立採算になり、リーグ戦に入ればC級の棋士でも、A級棋士と同じ対局料が入る時代となっている。

将棋連盟の財政が好転したのは、囲碁の名人戦を朝日と読売で奪い合ってからのこと。その後、将棋連盟も名人戦を巡って、30年ぶりに争いが生じる。ともあれ私がA級棋士になった昭和58(1983)年の頃は、A級の固定給は当時の5〜6倍にはなっていた。

もう一つは、読売新聞社が「十段戦」を発展的に解消し、最高棋戦として「竜王戦」を作ってからで、棋士の収入は飛躍的に伸びたのだった。竜王戦は優勝者や準優勝者への賞金が高額なのだ。

竜王戦の創設は大山十五世名人の反対があって、大変だったと聞いている。

前述のように将棋連盟が苦しい時、第一人者の自分が危機を救った経験があるからで、一人の棋士だけが恵まれてはいけない、という思いがあったようだった。しかし、将棋界の発展のためということで最終的には承諾し、大型棋戦の誕生となった。

現代の金銭事情

今度は現代の金銭事情に目を向けてみる。

現在、将棋連盟は毎年、棋士の賞金ランキングを10位まで発表している(女流棋士は含まず)。

該当するのは、対局料、タイトル獲得を含む賞金と、毎月の固定給。このほかにイベント出演や解説の仕事、人によっては本の印税、講演料。教室を主宰している人なら、指導料などの収入があるが、これらは含まれない。あくまでプロの棋士としての収入である。

令和5(2023)年の第1位は、八冠独占を達成した藤井聡太竜王・名人で、1億8634万円。過去最高金額だ。それまでの最高は羽生善治九段が七冠時代に獲得した1億6597万円だから、それを2000万円ほどオーバーしたことになる。

※編集部注:藤井聡太竜王・名人の2024年獲得賞金・対局料は、1億7556万円(1位)となっている。

とは言え、羽生の時代よりタイトル戦としては叡王戦が増えているから、その分が増えるのは当然のこと。棋士の収入が30年前から増えているとは言えないだろう。

それでも藤井はこの金額の上に、イベント出演、本の印税や免状の署名料などがあり、控え気味にしているとはいえ、CMの出演料もある。さらに令和7(2025)年からは棋聖戦の賞金が実質的に5000万円になるから総収入は3億円を超すのではないだろうか。

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