「インドネシア国産電車」安全を支える日本の技術 見えない部分で貢献、中国勢にない「強み」は何か
台車の一部ということもあり、普段は間近で見ることはない部品だが、想像以上に大きくずっしりとした重さに驚いた。台車に取り付けた後は、中心にある台車とアームを固定する金具の一部分しか見ることができない。この金具にはフコクのロゴマークでもあるΦの文字が刻まれているが、取り付け後は台車枠と同じ黒色に塗装されてしまうため、本当に注意深く見なければ、ここに軸箱支持ゴムがあることに気付くこともない。
もともと、INKAからは今回の案件で空気バネの話をもらっていたと言うが、こちらは受注できなかった。しかし、営業部隊が積極的に働きかけた甲斐もあり、「一番難しいところをいただいてしまった」と原氏は言うものの、難題を乗り越えて期限通りに納入した。
日本勢が「生き残る道」がここに
インドネシアにおいて長らく続いた日本からの中古車両輸入はストップしてしまったが、このように国産車両の中にも日本製品はしっかり息づいている。それぞれの部品はINKAからメーカーが指定されているため、今後もスペアパーツとして需要が発生する。パーツ単位で安全性、信頼性、耐久性への高い信頼を寄せられることは、日本の各サプライヤーとINKA、そしてKCIの長い付き合いが続くことを意味する。
中国対日本の一騎打ちでは、価格や納期といった観点からして、かなり厳しい戦いを強いられる。しかし、中国メーカーには、インドネシアの国内産業育成という観点はない。ここに日本勢が生き残るための道がある。
11月上旬、インドネシアのプラボウォ大統領は鉄道インフラ関連の記念式典にて、新たに30本の通勤電車調達の計画を明らかにした。しかし、納期や生産能力の都合からも、全て国産車両で対応するのは難しいとみられている。晴れてデビューを果たしたINKA製新型車両CLI-225型だが、ここまで全てが滞りなく進んだかといえば噓になる。システムインテグレートや溶接技術など、さらなるブラッシュアップが必要だ。
品質、価格、納期だけで見れば、中国中車に圧倒的軍配が上がるだろう。しかし、前述のとおり中国メーカーには国内産業育成という観点はない。INKAと日系企業のさらなる連携は不可欠である。
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