「インドネシア国産電車」安全を支える日本の技術 見えない部分で貢献、中国勢にない「強み」は何か
鉄道の海外輸出について、日本の車両メーカー対海外メーカーという構図ばかりが取り上げられ、その受注結果に一喜一憂するのはいささか近視眼的と言えよう。海外メーカー製の車両であっても、縁の下の力持ちと呼べる部分に日本製部品が採用されていることは多い。
鉄道関連産業というと、どうしても電機メーカーや信号メーカーなどに目が向きがちだが、それだけではない。例えば留め具やゴムパッキン一つ取ってみても、汎用品では代替えの利かない、耐久性、防火性などに優れた鉄道車両専用の「日本品質」の製品が生産されている。
目につくところにメーカー名があるわけでもなく、言われなければ気づかないが、そんな製品がCLI-225型にも採用されている。その中から2つのメーカーに話を聞いた。
緊急脱出用の「伸縮はしご」
1つは、車内に搭載する緊急脱出用のはしごだ。
「INKAから直々に採用したいとオファーがあった」と話すのは、特殊梯子製作所(神戸市)の代表取締役、寺本隆氏だ。同社は伸縮はしごの製造に特化したメーカーで、独自の技術で上から下にするっと伸びるはしごの製造を得意としている。近年、ワンマン運転の拡大や津波の際の避難対策として伸縮はしごが鉄道車両内に設置されるケースが増えており、同社製品のシェアは9割を超える。
いきなりのインドネシアからの見積もりに当初は戸惑ったとのことだが、複数のルートからの打診があり、本気であると感じたという。インドネシアへの輸出は今回が初であり、インドネシア側が同社製品をどのように知ったのか不思議に思うのも無理はない。
しかし、車両発注者のインドネシア通勤鉄道(KCI)の職員は、JR東日本との連携協定でさまざまな研修を日本で受けている。その際に同社製の伸縮はしごに触れ、新車への搭載を決めた可能性が高いだろう。



















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