「計画通りに進まない」「想定外のトラブル」 コーヒーの専門家が産地で見た"驚きの光景"

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(写真:Steve Allen/PIXTA)
「計画通りに進まない」「想定外のトラブルが多い」──。グローバルビジネスや新規事業に携わる人なら、誰もが経験する悩みではないでしょうか。
コーヒー生豆の輸出入の現場では、日本のビジネスシーンでは考えられないような「予想外」が日常的に起こります。ナタを振り回しながら価格交渉に現れる農家、韓国へのサンプル送付依頼に「北朝鮮に送ればいいですか?」という確認、「電気が止まって輸出準備が進まなかった」という1カ月後の連絡──。
世界のビジネスエリートが身につけている コーヒーの教養』の著者、山本博文氏は、長年にわたりコーヒートレーディングの最前線に立ち、こうした経験から「予想外を楽しむ」マインドセットを身につけてきました。
同書から一部を抜粋・加筆編集し、好奇心の持ち方、期待値のコントロール、専門外への関心といった具体的なアプローチをご紹介します。

「なんでやねん」に好奇心を持つと視野が広がる

予想外の出来事に直面したとき、イライラするか、それとも好奇心を持って向き合うか。この姿勢の違いが、ビジネスパーソンとしての成長を大きく左右します。

例えば、ある産地のレストランでは、マグロが200円なのに川魚が5000円もします。一見不合理に見えるこの価格設定も、現地の農家に尋ねると「川魚のほうが希少性が高い」という明快な答えが返ってきます。実際、地球上の水の98%は海水で、淡水は2%に過ぎません。現地の人々は、需要と供給のバランスを肌感覚で理解し、経済合理性に基づいて行動していたのです。

ナタを常に携帯する農家が多いのも、農園の藪をかき分けるために必須の道具だからだと分かれば、価格交渉の場に持参することも理解できます。韓国へのサンプル送付依頼時に韓国と北朝鮮を間違えそうになる人がいるのは、その歴史的な背景や現状があまりニュースとして入ってこない地域だからです。

こうした「なんでやねん」という事柄に好奇心を持って理解しようとすることで、自分の視野が新たに広がっていきます。グローバルビジネスにおいて、相手の文脈を理解せずに自分の常識を押し付けても、良い結果は生まれません。

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