小学生で英検準1級でも"受験で通用しない"?早期取得ブームで競争加速も、まさかの落とし穴

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この潮流は大学入試にとどまりません。中学入試でも英検3級で加点、準2級で英語試験免除といった制度が広がり、高校入試でも東京都・神奈川県の一部で英検準2級以上を内申点換算に反映する仕組みが導入されています。

制度が後押しした結果、英検受験者は年々増加しています。日本英語検定協会の「統合報告書2025」によると、高校生の英検2級受験者数は10年前の約2.7倍に、準1級受験者数は10年前の約8倍になっていることが明らかになっています。

また、「英検の早期取得」も進んできています。2023年度の受験者のうち小学生が全体の9%を占め、2024年度で10年前の1.5倍に増えています。最近では「小学生で2級」「小6で準1級合格」という例も珍しくありません。英検先取りは、まさに“早い者勝ち”の様相を呈しています。

早期取得がもたらす“いい効果”──英語耳と成功体験

「小学生のうちに英検2級だなんて」と考える人もいると思いますが、しかし逆に、英語の教育は「早く始めるほど優位になる」側面もあります。

言語学でいう「臨界期仮説」というものがあり、12歳前後までは聴覚や発音の柔軟性が高く、英語の音声を自然に取り入れやすいとされています。

つまり、小学生期から英語に触れることは“英語耳”を育てるうえで確かなメリットがあるのです。

また自分が英検専門塾の指導者から話を聞いたところ、「小学生のほうが英検を取りやすい」という話をよく聞きます。理由としては、子どもたちは英語学習に対して余計な恐怖心がなく、遊びの延長として英検に挑戦するため、心理的ハードルが低いとのこと。

そして小学生のうちに英検に合格すれば大きな達成感が得られ、「自分は英語ができる」という自己効力感につながり、以降の学習にも前向きになりやすい。

学校や塾で英検の級を持っていることを伝えられるという事実そのものが、子どもにとって大きな自信となり、どんどん次の級の受験へと突き進んでいくわけです。

資格が与える“わかりやすい成功体験”は、英語への好意的な感情を育てるという点でも大きなプラスに働きます。

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