高市政権が引き起こす地殻変動、「トランプ劇場」2年目の世界。2026年はより大きな困難に見舞われるのか?
「インフレで国の借金比率が下がるならいいこと」と感じるかもしれない。だが、現実はより厄介だ。ここで登場するのが、第2のキーワード「財政ポピュリズム」だ。
自民党が少数与党である中、高市政権は国民受けのする大規模財政出動を企図。防衛費増額に加え、物価高対策や設備投資助成を軸とする18兆円規模の補正予算を策定した。これだけで新規国債発行は11兆円。さらにはガソリン税の暫定税率廃止や所得控除拡大も計画し、財政負担は膨らむ一方だ。
これはインフレ税の活用といっていい。税収と名目GDPが増え、公的債務残高比率の悪化を抑えつつ歳出拡大や減税が続けられるからだ。国債発行を増やしながら「責任ある積極財政だ」と強弁する高市政権の意図はここにある。
安易な財源と国土防衛という大義名分とが合体すると、防衛費の増加には抑制が利きにくい。一度積み上げられた予算は簡単には削れず、先々ではほかの歳出にシワ寄せが及ぶ局面も懸念される。
こうした宴がいつまで続くかは不透明だ。インフレと財政拡大は、通貨(財政)の信認低下を招き、長期金利上昇と円安をもたらす。円安はさらなる輸入インフレを呼び込み、長期金利上昇は膨大な国債の利払い費を膨らませる。このように高市政権を牽制するのは野党ではなく、市場だ。
高市政権の発足後、長期金利上昇と円安はジワジワ進行している。
仮にインフレ依存型財政が行きすぎた場合、円や国債は一段と売られ、財政危機は深刻化する。
その際、政治は市場からの信認を回復するため、公共事業などの歳出カットや増税を含む緊縮路線へ舵を切らざるをえなくなる。結局のところ「責任ある積極財政」のツケを払うのは国民だ。どこでブレーキを踏むのか。軟着陸できるかが、26年最大の課題になる。
世界はまた振り回される
目を世界に転じてみよう。
こちらのキーワードは「トランプ劇場の2年目」。最大のヤマ場は26年11月の米中間選挙だ。トランプ大統領は共和党知事の州兵を民主党知事の州へ派遣するなど、なりふり構わぬ権力行使を見せつけている。これらは中間選挙の正当性を揺さぶる行為であり、仮に共和党が選挙で敗北すれば内戦が起きる、と予測する識者さえいる。



















無料会員登録はこちら
ログインはこちら