高市政権が引き起こす地殻変動、「トランプ劇場」2年目の世界。2026年はより大きな困難に見舞われるのか?
今、日本で損をする者の筆頭は家計(労働者)だ。賃上げは物価に追いつかず、25年10月まで実質賃金は10カ月連続マイナス。26年も、賃金は増えても財布の中身は軽くなる状況が続くだろう。この実質的購買力の低下分こそが、家計が知らず知らずに支払わされているインフレという名の税金である。
もう1つの犠牲者=中小企業は、原材料費や人件費が上がる中、価格交渉力の弱さが利益の下振れ(インフレ税)につながる構図だ。
最も得するのは政府
これに対し、明確な受益者も存在する。最も得をするのは政府だ。インフレで企業利益や賃金の名目値は膨らみ、それはそのまま法人税や所得税、消費税の増収につながる。インフレになった22年度以降の税収は好調。25年度は当初見通しから2.9兆円(消費税だと税率1%強に相当)の上振れとなった。
さらに政府は実質債務減少も享受する。公的債務の健全性は通常、名目GDP(国内総生産)比でみる。インフレで分母の名目GDPが実質以上に膨らめば、分子の債務が多少増えても比率は低下する。
実際、23年度から名目GDP比での債務残高は減少に転換。大型補正予算で財政赤字を垂れ流しても、見かけ上の財政健全化が進む現象が起きている。

政府以外の受益者は、貸出金利上昇と資産運用手数料拡大を享受する銀行、素早い価格転嫁でインフレを利益拡大につなげられる大企業だ。重工・電機・造船の防衛産業と基地整備を担うゼネコンは防衛費拡大で二重の恩恵を受ける。



















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