「株価上昇が日本の未来を明るくする」元・大和証券部長が考える「日経平均5万円時代」の本当の意味とは?
その代表的なものが、年金です。
あなたが将来受け取る年金。これは、いま支払っている国民年金や厚生年金といった保険料を将来受け取るわけではなく、将来の現役世代が支払う保険料をそのまま受け取ります。これを「賦課方式」といい、世代間で支え合っている仕組みです。つまりいま支払う保険料はいまの高齢者にそのまま給付されるわけですね。
ここでまた疑問が生じます。少子高齢化が進み高齢者と現役世代のバランスが崩れた場合、受け取る年金はどうなるのでしょう?
でも、ご安心ください。そんな事態に備えた巨額のお金が別途あるのです。それが「年金積立金」と呼ばれるお金で、これまでの保険料から年金支払いに充てられなかった分が、将来のイザという時に備え世界中の金融市場で運用されているのです。それを担うのが世界最大規模の運用資産を誇る日の丸機関投資家、人呼んで株式市場のクジラ、「年金積立金管理運用独立行政法人」、略してGPIFというわけです。
GPIFの恩恵
ここで余談ですが、なんでこんなに覚えにくい名前を付けたのでしょう。漢字15文字、名詞をいくつも重ねて順番は覚えられませんし、そもそも名前に想いやビジョンがまったく感じられませんよね。と、そんないかにも官僚的なGPIFですが、実は立派な結果を残しているんです。
GPIFが運用を開始したのは01年、当時の運用資産額、年金積立金は約38兆円でした。以来今日までの四半世紀でなんと約180兆円もの累積収益を計上し、われわれ国民の資産を約277兆円に増やしてくれているんです(GPIF業務概況書およびホームページより。なお増加分には追加拠出分なども含まれます)。
GPIFの運用スタイルはいたってシンプル。全体を4分の1に分け、国内株式・海外株式・国内債券・海外債券おおむね均等に投資しています。年金財政上必要な利回りを満たしつつ、最もリスクの小さいポートフォリオがこの配分というわけですが、277兆円に増加した原動力はもちろん、半分を占める株式の価格上昇によるものです。



















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