「timeleszになれなかった」が武器になるのはなぜ? 「挫折を隠さない」TAGRIGHT・西山智樹&前田大輔が視聴者の心を動かす"納得の理由"
さまざまなオーディション番組を見ていた筆者にとって、これまでの点が線になるようでゾクゾクした。全員が「あと一歩」で夢に届かなかった経験を持つ。だからこそ、西山・前田が掲げた「挫折を個性に変える」というビジョンに共鳴したのだろう。
中小企業が学ぶべき「弱者の生存戦略」
ドキュメンタリーを見ていると、西山・前田のアーティストとしての側面だけでなく、交渉や段取りを行う「社会人としての優秀さ」も見えてくる。「スタートアップなど、これから世に名を広めたい企業のPR」と通じる部分があり、非常に興味深い。
ビジネス視点で見たとき、彼らの戦略の巧みさは以下の3点に集約される。
グループ名の「TAGRIGHT」には、こんな意味が込められている。
「たくさんの挫折をしてきた経験も、“自分のTAG(個性)”だと信じ、“それがRIGHT(正しさ・権利)だと思えるようにしていきたい”」
PRコンサルタントの下矢一良氏は著書『小さな会社のPR戦略』(同文舘出版)で、「物語で感動する裏側には振り幅が存在している」と指摘。「振り幅を広げようというのであれば、高さよりも底を掘ったほうが好感度は高まります」と述べている。
順風満帆な成功談より、一度失敗し、そこから這い上がる物語のほうが人の心を動かす。TAGRIGHTの2人は、まさにその「底」を経験してきた。その経験を隠すのではなく、堂々と語る。それが共感を生み、応援したいという気持ちにつながるのだ。
また、こういった「挫折談」は、酸いも甘いも噛み分けた人々にはとくに響く。多くのアイドルグループが存在する今、10代や20代のファンを獲得するだけではスターにはなれない。30代以降の大人のファン獲得は必須と言えるが、そういった意味でも「TAGRIGHT」の挑戦ストーリーは大衆の心を掴む可能性がある。



















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