NTT、補聴器より手軽なオープンイヤー型集音器を発表。国内1430万人が抱える"聞こえづらさ"に気付きを促す新提案

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NTTソノリティが狙ったのは「若者のイヤホンと見た目が変わらず、聞こえの悩みを解決する製品」。補聴器でもイヤホンでもない、両者の間を狙った。

cocoe
cocoeはイヤホンと集音器の間に位置づけられる。「ちょっとした耳の困りごと」を解決する製品として開発された(筆者撮影)

 集音器への不満、NTT技術で解く

ただ、集音器の評判は芳しくない。JapanTrak 2022によれば、満足度はわずか22%。認定補聴器技能者が調整した補聴器の64%と比べて見劣りする。1日の使用時間も平均3.6時間と、補聴器の8.2時間の半分以下。音質やハウリング、装着感に不満を抱え、買ったはいいが引き出しの奥で眠っている——そんなケースが少なくない。

世界初
耳かけ型・左右独立型・空気伝導型の集音器としては世界初(筆者撮影)

cocoe Earはここに切り込む。耳をふさがないオープンイヤー型でありながら集音機能を載せた。耳かけ型・左右独立型・空気伝導型の集音器としては世界初だ。

オープンイヤー型は周囲の音を自然に拾える反面、音の増幅が難しくハウリングも起きやすい。NTTソノリティはNTTの特許技術「PSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)」で克服した。音の打ち消し距離を精密に制御し、耳元だけに音を届ける仕組みだ。

集音の遅延は2.5ミリ秒。マイクで拾った音がスピーカーから出るまでの時間差が大きいと、直接耳に届く音と重なって気持ち悪い。人の耳は敏感で、0.0数秒のズレでも気になる。高性能チップで処理速度を上げた。

年を取ると高い音から聞こえにくくなる。低い音はさほど変わらない。cocoe Earは低音をそのまま通し、聞き取りにくい高音だけを増幅する。足りない分だけ補う。

重さは片耳約10g。メガネより軽い。「わずらわしい」を克服するため、50名超にヒアリングして装着感を磨いた。中野氏は「仕事中につけていて、夜帰る道すがら虫の声がよく聞こえるなと思ったら、つけていたのを忘れていた」と笑う。ボタン1つで集音のオン・オフを切り替えられ、ワイヤレスイヤホンとしても使える。初期設定は不要、スマホがなくても操作できる。

cocoe Earを手に取ったところ
cocoe Earを手に取ったところ。片耳約10gと軽量で、長時間の装着でも負担が少ない(筆者撮影)
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