NTT、補聴器より手軽なオープンイヤー型集音器を発表。国内1430万人が抱える"聞こえづらさ"に気付きを促す新提案

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

放っておくとどうなるか。難聴は認知症のリスクを高める。軽度で約2倍、重度なら最大5倍。研究で裏付けられた数字だ。

聞き取れないと会話がおっくうになる。人と話す機会が減り、孤立していく。NTT常務の大西佐知子氏は発表会で「聞こえないということは孤立を生む」と述べた。

テレビの音量を上げれば家族に「うるさい」と言われる。趣味の集まりから足が遠のく。会議で発言を聞き逃す。そんな小さな不便が積み重なる。

「技術ではなく文化の壁だった」

cocoe Earの開発を率いたプロダクトマネージャーの中野達也氏は、前職で13年間、補聴器開発に携わった。「どれだけ性能の良い補聴器を作っても、必要な人に届かない現実があった」と振り返る。

技術の問題ではなかった。「文化の壁だった」と中野氏は言う。補聴器への抵抗感、「まだ平気」という思い込み、値段の高さ。いくつもの壁がある。

風向きが変わったのは、ワイヤレスイヤホンの普及だ。街を歩けば、若者が当たり前のように耳にイヤホンをつけている。「耳に何かをつけることへの抵抗がなくなった。この流れに乗って新しい文化を作りたかった」と中野氏は話す。

シニア層も変わった。NTTドコモ モバイル社会研究所によれば、60代のSNS利用率は4年で41%から80%へ倍増。旅行やウォーキングを楽しむ元気な人が増えている。

次ページ集音器への不満を技術で解く
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事