東武の収支計画で読むスカイツリーの成否、オフィス苦戦は織り込み済みも、ブーム一服後がカギ

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ブーム一服後の客足がカギ

「今のスカイツリーの盛り上がりを考えれば5年目までの収支計画は十分可能な数字」(姫野アナリスト)。勝負は、ブームが一巡した後だろう。一般にタワーや展望台はリピーターが生まれにくく、既存施設の多くは開業時がピークで、以降は入場者が減少傾向にある。

スカイツリーで不安視されるのは、入場料金の高さ。350メートルに位置する「天望デッキ」に上るのに2000円かかる。さらにその上の「天望回廊」までは別途1000円必要だ。東京タワーの最上階・特別展望台までの料金1420円と比べれば倍以上で、割高との声もある。

リスクはあっても、東武グループにとって、スカイツリー効果はプラス面が大きい。

東武鉄道は、3月に沿線を走る伊勢崎線の浅草─東武動物公園間を「東武スカイツリーライン」に呼称変更、東京スカイツリーの隣接する業平橋駅も駅名を「とうきょうスカイツリー」に変えた。特急列車の一部を、同駅に停車させ、日光・鬼怒川・会津などへの観光需要の掘り起こしを図っている。

さらに販売不動産もスカイツリーを連想させる「ソライエ」ブランドに変更するなど、ブランド向上に最大限に活用する。これらの効果は収支計画に織り込んでいない。

「当社沿線全域、さらにはその延長線上の福島県、茨城県に及ぶ地域の活性化につながることを願っている」(東武鉄道・根津嘉澄社長)。

06年の建設地決定から6年、“カネの成る木”の果実を受け取るのはこれからだ。

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(宇都宮 徹 撮影:吉野純治 =週刊東洋経済2012年5月26日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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