「高い、まずい、狭い」のはずが…コラボカフェに絶望した日本人オタクが「中国のコラボカフェ」に衝撃を受けたワケ

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一方、食器やカトラリーは、バーで使われているものをそのまま使用し、紙のシートやピックなどのアイテムでドラえもんらしさを演出していた。店内が装飾されていたわけではないが、全テーブルに敷かれたシートがドラえもん仕様だったのでコラボ感を堪能できた。

ドラえもんのコラボシート
カトラリーの下にドラえもんのコラボシートが敷かれているだけでコラボ感を堪能できる(筆者撮影)

さて、ここでは筆者が実際に体験した日本のコラボカフェと海外のコラボカフェとの違いを見ていこう。

日本のコラボカフェはドリンク・フード注文ごとにノベルティをもらえることが多いため、ノベルティによる集客・注文促進が中心になりがちだ。また、食事・ドリンク自体の見た目で作品を表現している場合が多く、いわゆる「映える」代わりに大味なメニューが多い。

店内の装飾やメニューによって、コラボカフェという空間への「没入感」を楽しめるのも魅力的だろう。こうしたコラボカフェの多くは雑居ビルの中にあるテナントや商業施設内のテナントで展開されるため、クローズドな環境で食事を提供されることが多い。さらに、日本では「コラボカフェ」として運営されているケースが多く、ビジネスとしてのメインターゲットはIPのファンを想定している。

一方、海外企業が主催するコラボカフェは、レストランやバーなど、もともと飲食店として人気のオープンな場所で開催するケースが多い。飲食店としての設備が整っているため、座席やカトラリーなども充実しているのが特徴だ。日本のコラボカフェと比較すると会場の装飾は控えめな代わりに、食器の下に敷くシートや食事に刺すピックなどで作品らしさを演出している。

また、筆者が感じた最も大きな違いは、「コラボ作品のファン以外もコラボメニューを注文して食事を楽しんでいる」ことだ。純粋に飲食店に食事に来た人がせっかくなら頼んでみようかと、コラボメニューを注文している姿を何度も目撃した。ファン以外にも開かれたコラボカフェが新鮮すぎて、驚いたのを覚えている。

オープンな環境により作品の世界観に入り込む「没入感」には欠けるが、日本のコラボカフェで感じるのが難しい「美味しい」と「楽しい」体験を楽しめる。円安の影響もあり、コラボメニューの価格は恐ろしいほど高額なのだが、食べ終わる頃にはすっかり納得していた。

美味しいコラボカフェの共通点は「常設店舗」

こうして整理すると、美味しいコラボカフェの共通点は「常設店」であることが見えてきた。完全に新規で店舗を出店するのではなく、もともと人気の飲食店やカフェ設備が充実した常設店舗でコラボするからこそ、美味しさを担保できるのだ。開催ごとにテナントが変わると、調理設備の充実度やオペレーションに差が生まれ、クオリティの低下に繋がってしまうリスクがある。

『アニメのコラボカフェは、高いのにまずい』と投稿したら大炎上…。それでも私が『まずくても受け入れろ』に異を唱えるワケの記事でも触れた通り、「星のカービィ」や「ポケットモンスター」をはじめとした人気IPでは常設のコラボカフェを展開している。

こうした常設型コラボカフェの運営では「リピーターの獲得」が重要となる。コラボカフェという特別な空間での体験だけでなく、料理そのものの美味しさも兼ね備えていなければリピーターを獲得できない。このような「売上を確保するための構造」から、常設型のコラボカフェは味の美味しさを伴った店舗が多くなっている。

また、コラボカフェについて改めて調べてみて、人気常設型コラボカフェは「ノベルティのランダム配布による大きな差が生まれにくい」ことがわかった。もし好きなキャラクターのノベルティが出なかったとしても、ランダムに対するネガティブな感情ではなく「もらえてうれしい」というポジティブな感情につながりやすい。

次ページ日本にも、優れた常設型コラボカフェがある
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