もう1つの共通点は、“日本一のメンズコーチ”を謳う人気YouTuber・ジョージのファンであることだ。いわばオンラインサロン的な側面を持つイベントでもあるのだ。
「自分を変えたい」とは、出演者の台詞を借りれば「人生がクソつまんない」「死んだように生きてる自分が嫌」な現状を打破することであり、具体的には「有名ミュージシャンになりたい」「人気コーチになりたい」「翻訳家として生計を立てたい」などの実現したい夢が大前提になっている。そのため、「女性にモテたい」は、それらの大目標における小さな成功のうちの1つという微妙な位置付けになっている。
そのような意味において、この番組のコンセプトが最も如実に表れているのは、サバイバル系YouTuberの協力を得て実施した「滝からのダイブ」や、互いに全力で殴り合う「ボクシングのスパーリング」だろう。
この体験の目的は恐怖の克服とジョージが述べているが、これは古式ゆかしい通過儀礼の原形そのものなのである。
「分離」「過渡」「再統合」
通過儀礼(イニシエーション)とは、髪や服装を変え、社会の正式なメンバーとして迎え入れる「元服」(成人式)などの儀式のことを指す。原義では、象徴的な「死と再生」のプロセスを含んでおり、古い社会的地位や自己の終わりと、新しい地位や自己の始まりを意味している。



















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