「非モテ男性をバカにしている」との声も…弱者男性をエンタメ化?「男磨きハウス」が物議を呼ぶ"真因"

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もう1つの共通点は、“日本一のメンズコーチ”を謳う人気YouTuber・ジョージのファンであることだ。いわばオンラインサロン的な側面を持つイベントでもあるのだ。

ヨシタカさん。出演メンバーの中では最年長の38歳。コーチ目線の発言を繰り返し、シュンスさんと喧嘩になることも(画像は「ABEMA バラエティ【公式】」YouTubeのスクリーンショット)
田村シュンスさん。同志社大学に通う大学生でありながら、ミュージシャンやお笑い活動も行っている。(画像は「ABEMA バラエティ【公式】」YouTubeのスクリーンショット)
東大卒のアンカメさん。中高6年間男子校で、恋愛未経験で自信がない。ストリートで女性に声をかける荒療治を経験するも、視聴者からは「婚活市場では争奪戦」との声も(画像は「ABEMA バラエティ【公式】」YouTubeのスクリーンショット)
体重100キロ超のDAIさん。彼の喫煙をめぐって、メンバー間で揉める一幕も…(画像は「ABEMA バラエティ【公式】」YouTubeのスクリーンショット)
男磨きハウス
チキンスティック田中さん。現在無職の25歳。髪型イメチェンで菅田将暉風のイケメンに変化することに…?(画像は「ABEMA バラエティ【公式】」YouTubeのスクリーンショット)

「自分を変えたい」とは、出演者の台詞を借りれば「人生がクソつまんない」「死んだように生きてる自分が嫌」な現状を打破することであり、具体的には「有名ミュージシャンになりたい」「人気コーチになりたい」「翻訳家として生計を立てたい」などの実現したい夢が大前提になっている。そのため、「女性にモテたい」は、それらの大目標における小さな成功のうちの1つという微妙な位置付けになっている。

そのような意味において、この番組のコンセプトが最も如実に表れているのは、サバイバル系YouTuberの協力を得て実施した「滝からのダイブ」や、互いに全力で殴り合う「ボクシングのスパーリング」だろう。

この体験の目的は恐怖の克服とジョージが述べているが、これは古式ゆかしい通過儀礼の原形そのものなのである。

「分離」「過渡」「再統合」

通過儀礼(イニシエーション)とは、髪や服装を変え、社会の正式なメンバーとして迎え入れる「元服」(成人式)などの儀式のことを指す。原義では、象徴的な「死と再生」のプロセスを含んでおり、古い社会的地位や自己の終わりと、新しい地位や自己の始まりを意味している。

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