背後から、首を絞めてしまえ。必要なのは謝罪じゃない、殺害だ。それで私は人生をやり直すことができる。清美との一件を、完全に過去にできる。
直人の両手は、女の首回りで輪を作った。
そうだ、殺してしまえ!
──マナはね、パパのこと信じてるから大丈夫だよ。
違う、必要なのは殺害じゃない、謝罪だ。我に返るも、前のめりになっていた体勢を立て直せず、そのまま両手で清美の背中を押してしまう。すでに下着を外していた清美は、直人に押し倒されてベッドへ沈む。直人は勢いそのままに、清美に覆いかぶさる形になった。
清美は悲鳴をあげた。身体を反転させてこちらを見上げると、どけよおっさん、と凄む。
直人は慌てて身体を起こした。清美はすぐさまサイドテーブルからスマホを取り、どこかへ電話をした。直人はどうしていいか分からず、室内を右往左往するばかりだ。
玄関からノック音が響いた。清美がドアを開けると、そこには先ほどのデリヘル従業員の男が立っていた。
男は部屋へと押し入ってきて、怪訝な顔で直人を見る。清美はこちらを顎でしゃくる。
「このおっさん、本番強要」
「本番強要」と言われ……
直人は弁解を試みるも、まさか首を絞めようとしたとは言えない。直人がしどろもどろになっていると、従業員の男はA4サイズのパネルをこちらへ提示した。
「先ほど禁止事項は説明しましたよね。本番強要は罰金五十万。払わないなら、警察に連絡させていただきますよ」
罰金──? 警察──? すでに裏探偵倶楽部に百万を支払っている。さらに五十万は経済的に大きな痛手だ。でも警察沙汰になるのは、さすがにまずい──。
「罰金を払えば、警察には通報しないでくれるのか?」


















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