「させていただきます」はなぜダメ? 年末年始の挨拶メールでやりがちな "盛りすぎ敬語"ワースト5

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確かに恩恵の念は表せますが、主語の取り違えには注意が必要。動作の主は「上田様」ですが、「届けていただいた」の主語は「私」です。

「いただく」のままでわかりにくければ、敬語化する前の元の言葉「もらう」で考えてみましょう。

「私が上田様に書類を届けてもらった」わけで、「上田様が誰かに書類を届けてもらった」のではありません。

「(私が)上田様に書類を届けてもらい」を敬語化すると、「(私が)上田様にお届けいただき」と表せます。

また、「上田様が書類をお届けくださり(届けてくださり)」と表すこともできます。尊敬語「くださる」の元の言葉は「くれる」。この場合には、動作の主も、主語も「上田様」になる点が、「いただく」の用法との違いです。

●「元の言葉」→「敬語」(敬語の種類)

「……が……てくれる」→「くださる」(尊敬語)

「……に……てもらう」→「いただく」(謙譲語)

気持ちは盛っても敬語は盛らずに!

ワースト1
【盛りすぎ】本年も諸々ご支援していただき(orご支援してくださり)、誠にありがとうございました
【ほどよい】→本年も諸々ご支援いただき(orご支援くださり)、誠にありがとうございました

「お/ご……していただく」は、典型的な誤用です。「して」をつけずに「ご支援いただき」としましょう。

「お/ご……してくださる」もよく使われますが、同様に誤りです。「して」をつけずに、「ご支援くださり」とします。

年末年始の多忙な時期は、うっかり失礼な表現になるより、丁寧すぎるほうがまし、とばかり盛りすぎ敬語になりがちです。しかし、敬語の誤用や盛りすぎは、かえって失礼。気持ちは盛っても敬語は盛らず、ほどよい敬語を心がけたいものです。

その敬語、盛りすぎです! (青春新書インテリジェンス PI 702)
『その敬語、盛りすぎです!』(青春出版社)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします
前田 めぐる 文章術講師、コピーライター

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まえだ めぐる / Meguru Maeda

広告・広報畑で長年活動。コピーライターとして生活者と企業のコミュニケーションにおける言葉を、長年発想し続ける。その経験値をもとに、近年は全国の自治体・団体向け研修でSNS活用・文章術講師を務める。「つかめる・つたわる・つながる文章術」を書くワークで伝授し、受講者からは「楽しくて分かりやすい」「すぐに実践したくなった」と好評を得ている。広報アドバイザー、危機管理士としても、言葉のリスクコミュニケーションについて伝える。敬語マニアでもあり、敬語の違和感についてまとめたブログ『ほどよい敬語』が好評。著書に『その敬語、盛りすぎです!』『この一冊で面白いほど人が集まるSNS文章術』(ともに青春出版社)などがある。京都在住。

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