トヨタが捨て身で挑む中国エコカー決戦

言うまでもなく自動車メーカーにとって、中国での販売拡大は最重要の課題だ。高度成長を続けてきた中国市場には急ブレーキがかかり、11年の販売台数は1850万台と前年比横ばいだった。地場系メーカーの販売台数が落ち込むなど、優勝劣敗の構図がより鮮明になっている。

日産の中国駐在員が100人程度なのに対し、トヨタでは500人以上にまで増員を行った。モーターショーでも豊田社長は「今までと同じ考え方では、勝ち抜くことはもちろん、生き残ることさえできない」と強調。HVを武器に現状を打破する姿勢を鮮明にした。

だがトヨタの看板であるHVも、中国での販売台数は微々たるものだ。12年初めから3代目「プリウス」が中国でも発売されたが、年間の販売台数目標は3000台。23万元(約299万円)を超える価格は、現地生産される独BMWの3シリーズを上回る。「このクラスの車を買う顧客はガソリン代など気にしない」(北京のトヨタ車販売店)。

値段、知名度ともVWの新技術が圧勝

一方で近年の中国では、小型エンジンでダウンサイジングしたVWの小排気量化技術「TSI」の認知度が高く、HVは陰に隠れている。劣勢をはね返すべく、12年からトヨタはHVのメリットを宣伝する「雲動計画」を、中国全土で展開中だ。

それに先立って、バッテリーやモーターなどのHVユニット(基幹部品)を、中国で現地生産すると表明。江蘇省の常熟に新設した研究開発センター(TMEC)で開発と生産を行う予定だ。モーターショーでは、中国で生産されたHVユニットを搭載する次世代HV、「ショワンチン」が公開された。TMECで開発するHVユニットは、トヨタが中国で展開するほかのHVにも搭載される。

HVユニットを現地生産する最大の目的は製造コストの引き下げだ。VWの持つTSIは、ガソリン直噴エンジンとターボチャージャー(過給器)を組み合わせ、より少ない排気量で大きな出力を可能にする技術。VWが中国で売る車種の3分の1に載せている。「TSIを使えば、従来のガソリン車より燃費が2割向上する。ユーザーにとってHVはまだまだ高い」(VWのローラ・シェン中国ディレクター)。

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • ブックス・レビュー
  • 野口悠紀雄「経済最前線の先を見る」
  • 最新の週刊東洋経済
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
米国・イランのチキンゲーム<br>本質を知るための5大論点

ソレイマニ少将の殺害、報復攻撃と、米国とイランの対立が先鋭化し、年頭から世界を震撼させました。中東情勢が激動する中で、注視すべき事態の本質とは。国際政治からイラン経済まで、日本屈指のプロ5人に見立てを聞きました。