世界のアート好きが注目する非売品のカレンダー「ピレリ・カレンダー」の発表会で聞いた制作の意義
日本をはじめ、世界各地を見わたして、そんなことをしている企業がどれだけあるだろうか。私は寡聞にして知らない。
「カレンダーを作り続けるのは、社会とのつながりを持つことに意義を感じているからです」
ピレリのマルコ・トロンケッティ・プロベラCEOは、そう語ってくれた。
アートブックともいわれるピレリ・カレンダーは、たっぷりと予算をかけて制作される。起用されるのは、第一線で活躍するファッション写真家で、モデルも同様。顔ぶれは毎回おおきな話題を呼ぶ。
「写真家は数多くいますが、最適な人材を見つけるのも、私たちの重要な仕事です」
トロンケッティ・プロベラCEOは、少人数のメディアを前に、にこやかに語った。
11人の女優と「風/土/水/火」のエレメンツ
2026年版でピレリが採用した大きなテーマは「人間と自然のつながり」。
起用されたノルウェーの写真家、ソルベ・スンズボー(Sølve Sundsbø)は、ファッション写真家として活躍しているが、作品はコンセプチュアルで動画でも評価が高い。
2010年には、アメリカの新聞「ザ・ニューヨークタイムズ」紙の依頼で制作した動画の連作「14 Actors Acting」が、エミー賞を受賞している。
ナタリー・ポートマン、マット・デイモン、バンサン・カッセル、クロエ・モレッツら、日本でもよく知られている俳優が登場。
1本5分に満たないモノクロームの小品で、ストーリーらしいものが感じられないところに特徴がある。
キュートさで人気の高いクロエ・モレッツは、ずっとしかめっつらをしているし、演出(そんなものがあったのか不明だけれど)がおもしろい。
「自然と人間は重要なテーマだと思います。ただし、あまり複雑な表現になってもしょうがない、というのが私の考えでした」
スンズボーが、選んだ表現は「エレメンツ(Elements)」。
エレメンツとは、風と土と水と火。世界を構成するとされた4大元素のこと。12の星座もこれら4つに当てはめられる。たとえば「水」はかに座、さそり座、魚座、という具合。
スンズボー氏は、11人の女優を起用して、各人にそれぞれのイメージと重なるエレメンツを割り振った。



















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