腐敗遺体にまで進むのは一人暮らしの人が亡くなった場合に多いのですが、いわゆる孤独死・孤立死というのは、高齢者だけでなく40歳代や50歳代の単身居住者にも少なくありません。
若い人ほど発見が遅れやすい
むしろ働き盛りの若い人ほど、自身の死を想定しておらず、周囲にも気づかれにくいため、発見が遅れて腐敗しがちです。
とくに、一人暮らしで会社などに属さず、生活保護などの制度から孤立し近隣住民や親族との関係も希薄な場合、誰にも知られずに亡くなるリスクが高まります。
たとえ勤務先があっても、単身赴任、テレワーク、休職などで自宅に1人でいる時間が長ければ発見の遅れにつながります。なかには自宅で自殺し、長期間経過した末に見つかるケースもあります。
死亡時期の推定にしても、早期死体現象の段階ならある程度まで死亡日時を推定できますが腐敗が進むとそうはいかなくなります。
死体所見(といっても、腐敗の程度やウジの成長など)や環境捜査をもとに推定しますが、腐敗の速度は遺体の状況や周辺環境によっても異なるので、異臭が充満しハエが飛び交う部屋で死者の日常生活や体調急変時の状況につながる資料を探し出すことになります。
一人暮らしだと生活状況を知る人も少ない印象です。腐敗すると命日も推定できないことがあるのです。
家族の心情も気にかかります。離れて暮らしていて、しばらくその死に気づかなかっただけで、遺体が生前の面影もないほど腐敗していたら、発見した家族の精神的衝撃は計り知れません。
大事な人の変わり果てた姿を見て、亡くなったこと以上に、早く気づいてあげられなかったことを悔やんだり、腐敗した姿を見たことでトラウマを抱えたりすることもあります。
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