「40代男性の謎の死」現場にあった"紙切れ"が語った真相。そこに書かれていたこととは――軽く考えてはいけない"死に至る病"のサイン

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捜査の結果、事件性は否定され、死体硬直などの早期死体現象をふまえ死亡日時も推定されました。

では、死因は何でしょうか。状況からは自殺などではなく病死です。45歳の若さで死ぬほどの、何か持病があったのでしょうか。

家族から聴取すると、死者は1週間ほど前にインフルエンザA型にかかり薬を処方され、会社を休んで自宅療養中であったとのこと。確かにインフルエンザは感染するとつらいし、一歩間違えれば死に至る病気です。

しかし、病院で治療を受けており、何より若い。何か持病があったことに加えて、インフルエンザがとどめを刺したのかもしれません。

家族は「死者に持病はない」と言いますが、さらに室内を調べてみると、年初の健康診断(生活習慣病予防一般健診)の結果が見つかりました。それによると、総合判定は赤字で「要精密検査・治療」とあり、「尿酸に異常を認めます。精密検査または治療をお受けください」と書かれています。ほかにも脂質代謝、糖代謝、肝機能、白血球数、尿のたんぱく値、上部消化管検査などにも異常値があり、喫煙もしていたようです。

痛みもないし、大丈夫だろう

さて、健康診断でこのような生活習慣病疑いの結果を見て、命に関わると思う人はどのくらいいるでしょうか。深刻な病だと危機感を持つでしょうか。「痛みもないし、まあ大丈夫だろう」と軽く考える人は少なくありません。

しかし、検視の現場では、自らの死など考えたこともなく元気に働いていた40~50歳代の若い人が、このような異常値を放置して精密検査や治療を受けず、ある朝そのまま亡くなっていたケースや、インフルエンザや新型コロナウイルスなどへの感染をきっかけに生活習慣病が重症化して、命を落とすようなケースを数多く見てきました。

そして、私たちはそのような現場で、死者の健康診断や人間ドックの結果を見つけて、心臓などに異常値があったり生活習慣病の指摘があったりすると、謎の一部が解けて正直ホッとするのです。

それは、死んでもおかしくない病だからです。

例えば、生活習慣病の1つである高尿酸血症は、高血圧や脂質異常症、糖尿病と併発しやすく、血管の機能が低下して動脈硬化が進行することで、心筋梗塞や脳卒中のリスクを高めます。

これらはいずれも自覚症状が乏しいまま進行し、ある日突然命を奪います。原因は食生活の乱れ、運動不足、喫煙や飲酒といった日常の生活習慣です。突然死は、誰にでも起こり得ることなのです。

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