生活習慣病は血管を傷め、放置すれば死に至る病です。数値異常や再検査の指摘を「そのうちに」と先延ばしにせず早めに向き合うことが、自分の命を守る第一歩なのです。
遺体の腐敗は他人事ではない
人は暑さに弱く、とくに猛暑の夏は多くの人が亡くなり、腐敗していきます。ある9月末の残暑が続く日には、59歳男性、30歳男性、53歳男性、50歳男性、53歳女性の自宅内における腐敗遺体の検視が続いたことがありましたが、年間を通じてほぼ毎当務、腐敗遺体に出会います。
街なかで今この瞬間も、数多くの腐敗遺体が発見される時を待っているのです。
腐敗遺体はとにかく強烈な異臭を放ちます。私たちは作業服を着て検視を行なっていますが、腐敗遺体の検視に臨場すると作業服や髪の毛や鼻の穴にまで腐敗臭が染み付きますし、移動する車内にも異臭が漂います。
夏季ともなると腐敗遺体が多すぎて、もはや感覚も麻痺していきます。
同僚は腐敗遺体の検視のあと、食事のために店に入ったところ、見知らぬ子どもに「あの人くさい」と指を差されたそうです。子どもは正直で困ります。
寝ようとしても臭いが室内や布団にも移ってしまい、眠るどころではありません。
同じ日に腐敗遺体を連続して見続けると、腐敗具合を比較してこれは死後1カ月程度の遺体、これは死後2週間程度……と、死亡時期の見分けができるようになってしまいます。腐敗はそのくらい日常的な自然の摂理なのです。
しかし、他人事ではないのです。人はいつ死ぬかわかりませんし、死んだ後に1週間くらい誰にも気づかれないことがあるかもしれません。


















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