「え、なんであの人が昇進!?」「仕事を投げて自分では何もやらないのに…」「後輩に先を越された」 "昇進人事"にモヤッとするワケ
なぜあいつが自分より先に昇進するんだ……。
ある会社で係長クラスの昇進人事が発表され、ある先輩は人事のメールを見た瞬間、固まってしまった。そこに書かれていたのは自分の後輩の名前だったのだ。しかもその後輩は、いつもメンバーに仕事を振りまくり、自分ではほとんど手を動かしていない。それなのに自分より先に昇進するとは、いったいどういうことか。
「なぜあの人が?」と首をかしげたくなる昇進劇は、どの会社にも1つや2つはあるものだ。そこで今回は、人事評価の謎と「任せる力」の本質について解説する。部下の昇進に納得できないマネジャーや、人事評価に疑問を感じている人は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
「要領のいい人」が評価される仕組み
今回のケースに登場する後輩は、まさに典型的な「要領のいい人」だった。
普段からその後輩は、どんどんメンバーに仕事を振る。資料作成も分析も細かな段取りも、ほとんどを周囲に任せてしまう。本人はあまり残業もせず、いつもそこそこ余裕があるように見える。
一方任された側は、残業続きである。
「あの人、全然自分でやらないよね」
という不満が、チーム内でくすぶっていた。遅くまで資料を作り込んでいる若手メンバーの横で、その部下は定時で帰宅する。翌朝、完成した資料をチェックし、数カ所だけ修正を指示して、
「よし、これで行こう」
と満足げにうなずく。実務を担当したメンバーからすれば、たまったものではない。
ところが会議になると様子が変わる。プロジェクトの進捗報告をするのは、その「要領のいい後輩」だ。完成度の高い資料を手に堂々と説明し、質問にも的確に答える。プロジェクトの成果は、すべて自分がリードしてきたかのように語られるのだ。
実際にはメンバーが汗をかいているのに、外から見ると「まとめ役」「キーマン」は彼に見える。結果として評価の場では、
「リーダーシップがある」
「若いのに頼もしい」
という印象が強く残る。一方実際に手を動かしているメンバーは「よく働く人」であって、「昇進候補」とまでは見なされない。



















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