「え、なんであの人が昇進!?」「仕事を投げて自分では何もやらないのに…」「後輩に先を越された」 "昇進人事"にモヤッとするワケ

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一方、よくよく見てみると、その後輩は「仕事を任せながらも要所、要所で責任を取り、全体をうまくまとめていた」という可能性もある。メンバーへの感謝を口にしていたか。トラブル時には真っ先に矢面に立っていたか。プロジェクト全体を俯瞰し、上との調整を引き受けていたか。

もしそうだとしたら、その後輩は単に「要領がいい」のではなく「任せる力」と「まとめる力」に長けていたのかもしれない。見えないところで、チーム全体の方向性を調整し、メンバーが働きやすい環境を整えていた可能性もあるのだ。

人事の謎を解く2つの視点

そして2つ目の問いだ。

「自分がやったほうが早い」「部下に任せると時間がかかるから」と言いながら、いつまでも自分で資料をつくり、細部のチェックに追われていないか。上位者としてやるべき仕事を後回しにしていないか。結果として「忙しく立ち働いている」ことが、自分の安心材料になっていないか。

人事が評価していたのは、もしかすると「手を動かしている量」ではなく「チームとしてどれだけ成果を上げたか」「どれだけ役割の階層を意識した仕事をしていたか」だったのかもしれないのだ。

もちろん他人の成果を横取りして昇進の階段を駆け上がる人が存在するのも事実。それは組織にとって有害だ。見過ごすべきではない。しかし同時に「任せる」「人を使う」という行為そのものが、すべて悪と見なしてはいけない。自分自身の成長を止めてしまうことにもなる。

自分の後輩が自分より先に昇進したとき、その出来事を「理不尽な人事」として嘆くのか。それとも「人に任せること」「手柄の扱い方」「評価の伝え方」を見直すきっかけにするのか。しっかり考えてみよう。そうすることで、次のステージへの扉が開いていくはずだ。

【この記事の著者・横山信弘氏への仕事のお悩みを募集します!】本連載では、読者の皆様からのご相談を受け付けています。「困った部下・上司・同僚への対応」や「仕事で壁にぶつかったときの対処法」など、さまざまなお悩みをお寄せください。 ご協力いただける方は、こちらのフォームからお送りください。
横山 信弘 アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長

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よこやま・のぶひろ / Nobuhiro Yokoyama

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。『絶対達成マインドのつくり方』『絶対達成バイブル』など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。近著に『トップコンサルタントの「戦略的」勉強法』。

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