「え、なんであの人が昇進!?」「仕事を投げて自分では何もやらないのに…」「後輩に先を越された」 "昇進人事"にモヤッとするワケ

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ここで考えなくてはならないポイントは、大きく2つある。

1つ目は「自分の手柄でもないのに、自分の手柄として評価されてしまう」ことの問題だ。

本来マネジメントの役割とは、チームの成果を最大化することである。メンバーの力を引き出し、仕事を任せ、結果として大きな成果を出したのであれば、それが評価されるのは当然だ。

しかし今回のケースは、少し微妙なラインにある。

その後輩は資料の中身そのものは作っていない。だが構成や方向性は指示しており、最終チェックや仕上げはきちんとやっている。まるで自動車メーカーのようなものだ。部品は外注先が作るが、企画や仕様、デザインはメーカーが決める。そして最後の組み立て作業もメーカーがやる。

これと同じ構図である。

メンバーの貢献を認める姿勢はあるか?

問題は、そのような役割分担が正しく伝わっているかどうかだ。上層部に報告する際、

「このプロジェクトは、実務を〇〇がやってくれました」

と一言添えるかどうか。メンバーの貢献を認める姿勢があるかどうか。ここが分かれ目になる。

もしメンバーの貢献にまったく触れず、すべて自分の成果として報告していたとしたら、まじめにコツコツ働く人材ほど不満をためるだろう。やがて「やってられない」と言い、見切りをつけて辞めていくかもしれない。残るのは「成果の見せ方」だけが上手な人たちだ。

人事評価は完璧ではない。人事部や経営陣は現場のすべてを知っているわけではないからだ。だからこそ直属の上司が「誰がどのように貢献しているか」を正しく伝えなければならない。しかし、その上司自身が「要領のいい見せ方」に翻弄されていたとしたらどうか。

「彼はうまく人を使って成果を出しているように見える。でも実際には、どこまで自分が関与しているのか?」

ここを見抜けないと「口がうまくて要領のいい人」ばかりが得をする組織文化が生まれるだろう。評価する側は、ここを見逃してはならない。

しかしもう1つ、忘れてはならない視点がある。

2つ目は「人に任せること自体は、決して悪ではない」ということだ。

一定以上のポジションになれば「自分でやったほうが早い」という考え方こそが、最大のボトルネックだと私は考えている。すべて自分で抱え込む上司は、いつまで経っても忙しい割に成果が伸びない。何より部下の成長機会を奪ってしまう。

次ページ「任せ方」と「任せた後、自分が何をしているか」
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