「いまは団地より"平屋"に癒やされる」 まるでケアドラマ? NHK夜ドラ『ひらやすみ』に共感が集まっているワケ
この「将来の不安がなく」というのがうらやましくもあるが、そんなことほんとうにあるだろうかと疑問にも思う。実際、頑張りすぎのよもぎは、誰もがヒロトのように生きられないと苛立っていた。だが、あるときわかるのは、ヒロトは勝ち負けがつく競争社会が苦手で、俳優の仕事をやめたのもそれが原因の1つらしいのだ。彼の心の内を、高校時代からの友人・ヒデキは知っている。
ヒロトは勝負しないで済む生き方を自分なりに見つけたのだと思う。ヒロトは身内でない、はなえやほかの老人たちにもフラットに接し、「幸せ」とは何かをあまり考えていない。誰かの幸せの話を聞いたとき、自分と比べることはなく、その人の幸せが続くことを願う。なんだかとても聖人のような人だ。
なつみは美大に入ったものの、おしゃれでクールな美大生たちに気圧されて家で引きこもって漫画を描いている。社会の中の最適解に自分を合わせない2人には平屋が似合う。ただし、なつみが漫画家を目指すとしたら勝負の世界に否応なく入らないとならないと予想されるが、ドラマはどういう着地点になるだろうか。
なんとか生きていこうという気持ちになれる
孤独な荒野の一軒家ではなく、来る者に開かれている平屋。そこにふらりとやって来て、数人でわいわい語り合って、またそれぞれの家に帰っていく。
この家の中ではひとときくよくよ考えずに楽しんで、なんとか生きていこうという気持ちになれる。そういう人間にとって、いったんゼロに帰れる場所が「平屋」なのだ。勝負しなくても得られる幸せに出会いたい。
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