「いまは団地より"平屋"に癒やされる」 まるでケアドラマ? NHK夜ドラ『ひらやすみ』に共感が集まっているワケ

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ヒロトとなつみの住む風通しのいい平屋に友人知人たちが集まってくる。

ヒロトの高校時代の友人・ヒデキ(吉村界人)は妻(蓮佛美沙子)との関係に悩み、不動産会社の社員・よもぎ(吉岡里帆)は頑張り過ぎて疲れがちで、自由人ヒロトの生き方を羨ましく感じる。なつみの友人・あかり(光嶌なづな)は自虐的な性格で、なつみと一緒にいるのが癒やしになっているようだ。

登場人物の誰もがとりたてて突出したところがあるわけでもなく、何か大きな目標に向かっているわけでもない。彼らのささやかでほのぼのした日常生活が、月曜日から木曜日の平日夜に15分。22時45分から23時、1日のいろいろを終えて寝る前の15分に『ひらやすみ』はいい睡眠導入剤のようだ。

ひらやすみ
友人たちと縁側でまったりする時間も至福(画像:NHK『ひらやすみ』公式サイトより)

ドラマの語りを小林聡美が担当していて、彼女の声がまたほのぼの感を高める。SNSでは「平日の夜に自分を取り戻す」という声もあり、ケアドラマだなあと思う。

ケアドラマたるゆえんは、大きなことは何も起こらない日常の話であることや岡山天音や森七菜たちのナチュラルなたたずまいが、いずれも原作を損なうことなく、原作ファンにも愛されていることだ。

ひらやすみ
ヒロトのいとこ・なつみを演じる森七菜(写真左)やその友人・あかりを演じる光嶌なづなの演技も好評(画像:NHK『ひらやすみ』公式サイトより)

もう1つの主人公「平家」の魅力

とりわけケアドラマとして重要なのは、平屋である。いまどき東京23区内にこんなに隣が気にならない日当たりがよくて風通しもいい平屋はなかなかなく、夢のような物件である。

この平屋について、ドラマの放送前の会見では「物語の中のもう1つの主人公といってもいいくらい大事な存在だと思っています」と制作統括の坂部康二チーフ・プロデューサーは語っていた。

原作漫画の家に似ていて撮影しやすい物件を探し、徹底的に作り込んだ。さすがに阿佐ヶ谷にはぴったりな物件はなく、別の場所だ。

「色々なエリアごと足を運び、口コミやネットでも情報を集め…問い合わせた件数は300軒ほど、そしてアポをとって足を運んだ平屋は60軒くらい」(NHK公式サイトより)

ひらやすみ
ロケは選び抜かれた実際の平屋で行われた(画像:NHK『ひらやすみ』公式サイトより)
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