「いまは団地より"平屋"に癒やされる」 まるでケアドラマ? NHK夜ドラ『ひらやすみ』に共感が集まっているワケ

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築年数は古そうで、家財は昭和の名残があり、はやりの、古い家屋を現代的に、あるいは現代と古い面影を融合してリノベーションしました、という感じでは決してない。建具や家具は昔のままで畳はすれてささくれだっている。

「平屋は、主にばーちゃんが住んでいた頃のまま引き継ぎ、そこをヒロトがなっちゃんを迎えられるよう、そして自分が住みやすいように、少しだけ手を加えた設定。美術アベンジャーズも、なつみの年齢に近い20代前半の助手から、ばーちゃんの年齢に近い69歳まで、幅広い年代の美術メンバーたちが意見を出し合い、それぞれのこだわりを詰め込んでくれました」(NHK公式サイトより)

ひらやすみ
この廊下……! あまりに懐かしい光景(画像:NHK『ひらやすみ』公式サイトより)

通りに面して花火もできる広い前庭があり、それが縁側につながっている。洗濯物も干し放題。庭木もいい感じ。この設計、最高。

とりわけキッチンは、まさに昭和の終わり頃(1980〜90年代)の古すぎず新しすぎない、よくいえばニュートラル、悪くいえば中途半端な感じであるが、だからこそ誰もが受け入れやすいように思う。強い主張がなく、ただ生活しやすさに特化している。こういう場所は何かというと「実家」である。

本来、この「実家」感がいやになり、人は家を出る。なつみは最初、タワマンがいい、フローリングがいいと不満を述べていた。ところが、このような実家の記憶をくすぐるような場所に回帰して、もう一度、人生を生き直す。『ひらやすみ』はそんなドラマだ。

ひらやすみ
キッチンの雰囲気、入り口にかかる玉のれんも、まさに「実家」(画像:NHK『ひらやすみ』公式サイトより)

これまでは「団地」が人気だった

『ひらやすみ』の先行作として『団地のふたり』や『しあわせは食べて寝て待て』などがある。これらも、実家のようなほっこりあったかい場所で暮らし、でも家族にはこだわらず、友人、隣人たちとの穏やかな共生をする物語だ。

そういった題材のドラマの人気舞台地といえば、これまで主に団地だった。

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