「いまは団地より"平屋"に癒やされる」 まるでケアドラマ? NHK夜ドラ『ひらやすみ』に共感が集まっているワケ

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さまざまな人たちが集合住宅の中でゆるやかに自治していく小さな共同体は、戦後、高度成長期に増加した。これらが老朽化し、住人たちが高齢化、でも解体はさまざまな面で難しく、再生して新たな住まい手を招いて、延命する手法が主流になっている。

タワマンも新築戸建ても手が出ない勢としては、団地家賃が安価で、自分の裁量で手を入れればそれなりに快適になるところがよさだ。SDGsにもふさわしいだろう。

今回の『ひらやすみ』は平屋である。平屋はさらに憧れだ。なんてったって戸建てである。戸建ては自分だけの空間、まさに城である。戦後の焼け跡に家が建ち始めた頃、一戸建てがかなわない人たちに向けて効率よく土地利用し、作られたのが団地だ。

ひらやすみ
古くて小さいけれど、居心地のいい空間がある(画像:NHK『ひらやすみ』公式サイトより)

フラットで小さな家に惹かれる理由

先述したドラマの会見で、森七菜がかつて平屋に住んでいた経験から、平屋のよさをこう語っていた。

「2階建ての家とは違い、階段などの隔てるものがなくて、少し声を出せば家族に声が届く。平和な空間だと思う」

筆者も平屋に生まれ育ったので、その感覚はよくわかる。2階に自分の部屋を増設してほしいとも思っていたが。

階段がなくバリアフリーで、家族とのコミュニケーションや生活動線が効率的か近しい、老若男女にやさしいのが平屋。誰もにやさしく、誰もがアクセスしやすい「平屋」。まさにいまの時代の生き方に合った住まいの形であるそれは、様式のみならず、生きる哲学の象徴のようでもある。

タワマンのように高さを誇ることなく、1階だけのフラットで小さな家(うち)に多くの人が惹かれるのは、この独立したフラットさではないだろうか。

『ひらやすみ』のヒロトと、この平屋は似ている。彼はとても自由にのほほんと暮らしているように見える。キャラクター紹介には「将来の不安がなく、のんびりした性格」とある。

ひらやすみ
元々はご近所さんだった、はなえ(写真右、根岸季衣)から築古の平屋を譲ってもらったヒロト(画像:NHK『ひらやすみ』公式サイトより)
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