「RSとして設定するわけですから、ベースグレードのZとは大きな違いがあってしかるべきと考えて作り込みを行いました」(本田技研工業 LPL シニアチーフエンジニア磯貝尚弘さん)。筆者は幸運なことに1974年の初代「シビックRS」にはじまり歴代「フィット」「ジェイド」「N-ONE」、現行型「シビック」とRSシリーズに試乗する機会を得てきたが、いずれも爽快感という領域で大きく高められていた。打てば響く、それが筆者のRSに対するイメージだ。
2代目と3代目フィットのRSではサーキットに持ち込み、チームを組んで耐久レースにも参戦していた。だからRSの持つ高いポテンシャルは理解しているつもりだ。また16年2月に初代ヴェゼルに追加されたRSでは当時、長距離テストを行ったが、ホンダの硬派ピュアスポーツバッジ「タイプR」とは異なる爽快感と躍動感がほどよくバランスされたRSらしい走りが堪能できたことを覚えている。
ヴェゼルRSの走りについて
ひるがえって、このe:HEV RSだが、筆者のRS観からすると、「走行性能にやや振りすぎかな」と感じられるシーンがあった。端的に「お、乗り心地がハードだぞ」と思わせるシーンが多かったのだ。
もっともこれは今回の試乗シーンや道路環境が大きく関係している。都市部で路面の荒れた工事区間が多く、渋滞路を含み平均速度も低かったのだ。よってスムースに流れる郊外路や山道だったら印象はもっと良くなっていたかもしれない。いずれにしろベースグレードのZとは180度違う乗り味で潔さがある。



















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