『解任』を書いた元オリンパス社長に聞く 「目上の人を尊敬する日本の習慣が行き過ぎた」

拡大
縮小

 

──あなた自身もサムライ?

そうは思わない。同じ立場に置かれたら、多くの人が勇気を持って告発したと思う。たとえば夜道を歩いていて、犯罪を目撃したとする。あなたがその目撃者だったらどうする? 犯人が怖くて何も言わないだろうか。多くの人は警察に通報するのではないかな。

もし菊川氏が損失隠しをしていなければ、私はオリンパスの経営者であり続けて、会社の収益向上に貢献できていたと思う。

ただし、おカネよりも大事なものが私にはある。正直さや誠実さ、そして信念を曲げないこと。これが、私の信条だ。

──「一人ひとりはいい人間なのに、なぜ集団だと良心に反する行動を取るのか」との言葉が印象的でした。

いい人たちが共謀して悪いことをしたわけではない。技術者、工場の従業員、営業……現場の人たちは皆、一生懸命働いていた。問題はマネジメントだった。

オリンパスにはシステム上の問題があった。社長の人事において、下山氏が岸本氏を選び、岸本氏が菊川氏を選んだ。選ばれるのは、前任者に逆らうことのないタイプの人間ばかりだった。

たとえばサムライの一人、河原氏はオリンパスの収益源である内視鏡の生みの親であり、私から見てとても優秀なマネジメントができる人材だった。しかし、社長に選ばれることはなかった。

 

次ページメディアへの苦言
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
TSMC、NVIDIAの追い風受ける日本企業と国策ラピダスの行方
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
【動物研究家】パンク町田に密着し、知られざる一面に迫る
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
広告収入減に株主の圧力増大、テレビ局が直面する生存競争
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
現実味が増す「トランプ再選」、政策や外交に起こりうる変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT