『解任』を書いた元オリンパス社長に聞く

「目上の人を尊敬する日本の習慣が行き過ぎた」

 

──損失隠し問題をめぐる一連の報道について苦言も呈しています。

最初の『FACTA』の記事を読めば、しっかりした情報源を基に書かれたものとわかるはず。しかし、主要なメディアはこの問題を取り上げなかった。この問題は7月に『FACTA』で報じられたが、大手メディアが報道を始めたのは私が社長を解任された10月14日以降になってからだ。

もちろん、オリンパス側に取材はしたのだろうが、きちんとした回答が得られなかったのだろう。英国のメディアなら取材で満足できる答えが出るまでねばる。日本人の感覚からすれば、揚げ足を取るとも思えるくらいの質問もする。

礼儀正しさも大事だが、日本の報道にはよりアグレッシブな姿勢が必要だとも感じる。

──日本の証券市場は健全ではないと考えますか。

オリンパスだけの問題ではない。最近になって、AIJ投資顧問の問題も発覚した。日本の証券市場には健全な監視システムが働いていないのではないか。海外の投資家は懸念を持って見ている。

なぜオリンパスの監査法人はこの問題に気づかなかったのか。あるいは本当に気づいていなかったのか。今後数年のうちに、ほかの日本企業でも同様のスキャンダルが起こるのではないかと懸念している。

──今、オリンパスという会社に対してどのような思いを持っていますか。

すばらしい従業員がいて、すばらしい製品がある。しかし、リーダーシップが弱く、それを最大限に生かす適切な経営ができていない。非常にもったいないと思う。

Michael Woodford
1960年英リバプール生まれ。81年にオリンパス医療事業の英国代理店・キーメッド社入社。同社社長、オリンパス・メディカル・システムズ欧州法人代表取締役などを経て、2011年4月にオリンパスの社長執行役員就任。同年6月に代表取締役社長、同年10月に解任される。

(聞き手:島大輔 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2012年5月19日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 


『解任』 早川書房 1680円 246ページ

 


  

 

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