「別に入れなくてもいいチラシ」をなぜ作るのか…通販会社社長が明かす【客に会わない仕事】の"要諦"
わたしも最初から「完璧なリピーター作りの作戦」があったわけではありません。むしろ「店舗でならできるんだけど、通販ではどうやったらいいんだろう」と、自分の得意なことを封印されたような感覚でした。
さらに「通販の怖さ、難しさ」を強烈に感じた出来事がありました。メイン商品を販売する前、広告での通販テストをしていた時期でした。注文が1件、2件ほどしかなかった頃です。
1件とはいえ注文をくださった大切なお客さんです。迅速に商品を発送しました。しかし、それから1カ月経っても、2カ月経っても入金がなかったのです。
気が進みませんでしたが催促のために電話をしたところ「そんな商品は知らない」とおっしゃるのです。当時、スタッフも6名。注文も少なかったですからお客さんの情報はすべて共有しており、そこにいた全員が「この電話口の人が、注文をしてました」と確信を持っていました。
わたしはそのお客さんの家まで直接伺うことにしました。2000円もしないような商品であり、往復の交通費の方が高かったくらいですが「どうして払ってくれないんだろう」という疑問を解きたい、その相手のことを知りたい、という気持ちが強かったからです。
こっちを「踏み倒していい」相手だと思っている
地図を見ながらその人の家に到着し、ピンポンと呼び鈴を鳴らして待っていると、ドアの中から人が現れました。当時はインターホンが無く、呼び鈴越しに会話はできなかったのでドアを開けて来客を確認するような時代でした。
わたしは丁寧に名乗り、「〇月〇日に、〇〇新聞にこのような商品の広告を載せた際、ご注文をいただいたので商品をお送りしたのですが」と要件を告げました。
すると相手はハッとしたような顔をしました。それは「本当に知らない人の反応」ではなく、確実に「やべっ!」といったような隠しごと、やましいことがある人の反応でした。
わたしは「お金を払わない相手を責めたい」、「商品代を回収したい」という気持ちではなく「どうしてこの人は、自分で買った商品の代金を支払わないんだろう」ということを知りたかったので、丁寧に話を進めました。



















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