イオンは増量・生協は値下げ――問われる「プライベートブランド」の真価。価格と品質を両立させるスーパーの戦略

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

これらの商品カテゴリーは2022年以降に値上げが広がっており、ナショナルブランド商品から乗り換える動きも見られる。

なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる (朝日新書)
『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』(朝日新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

新商品の開発には、特に単身世帯の増加を反映させ、手軽で満足感のある食事を提供することを重視する。冷蔵(チルド)惣菜では、クラムチャウダーなど11品目のスープを投入した。

価格は300~500円台とやや高めに設定したが、単品でも満足できる内容を重視したという。低価格帯の「トップバリュ ベストプライス」では第3のビールだった「バーリアル」を発泡酒に刷新した。

グループでPB開発を担うイオントップバリュの土谷美津子社長(イオン副社長)が「(大手メーカー商品と)品質が同等のものはお買い得にしていく」と話すとおり、24年9月から全国1万店で「トップバリュ」の一部品目を値下げした。消費者の節約志向に対応し、少しでも財布のひもを緩める作戦を展開している。

ベイシアはPB比率20%以上へ

ベイシアも2023年3月、新しいPB「ベイシアプレミアム」を立ち上げ、これまで約1000品目のPBを展開してきた。

外部の評価機関がメーカーや商品の名前を伏せて比較し、代表的な他社商品と味や品質が同等以上であると認められたものをプレミアムとして揃えた。ブランドのロゴも赤く目立たせる形で刷新した。売上高に占めるPB比率を、いまの約14%から20%以上に上げる構えだ。

イオンはPB「トップバリュ」を3つのラインに集約した(画像:『なぜ野菜売り場は入り口にあるのか スーパーマーケットで経済がわかる』より)
白鳥 和生 流通科学大学商学部経営学科教授

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

しろとり かずお / Kazuo Shirotori

1967年、長野県生まれ。明治学院大学国際学部を卒業後、日本経済新聞社に入社。小売、卸、外食、食品メーカー、流通政策などを長く取材し、『日経MJ』『日本経済新聞』のデスクを歴任。その一方で、国學院大學経済学部と日本大学大学院総合社会情報研究科の非常勤講師を担当。日本大学大学院で企業の社会的責任(CSR)を研究し、2020年に博士(総合社会文化)の学位を取得。2024年、流通科学大学商学部経営学科教授に着任。著書に『即! ビジネスで使える 新聞記者式 伝わる文章術』(CEメディアハウス)、『不況に強いビジネスは北海道の「小売」に学べ』『グミがわかればヒットの法則がわかる』(ともにプレジデント社)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事