イオンは増量・生協は値下げ――問われる「プライベートブランド」の真価。価格と品質を両立させるスーパーの戦略

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デロイトトーマツグループの調査「2023年度『国内消費者意識・購買行動調査』」によると、買い物でPB商品が選択肢に入っていると答えた割合は、スーパーマーケットで7割、ドラッグストアでは6割、ディスカウントストアでも5割とそれぞれ過半数を占めた。

価格の値ごろ感を理由に挙げる消費者が最も多い一方、「鮮度・味・機能など品質がよい」も2割あった。消費者はPBに対して、安さだけではなく味や機能面の付加価値を求める傾向が強まっている。

大手メーカーの値上げが相次ぐ中、PBの価格維持や値下げに取り組む動きも見られる。

約100品目で増量「トップバリュ」

イオンは24年10月、「トップバリュ」の約100品目で増量を実施し、一部商品を値下げすると発表した。

また、日本生活協同組合連合会は、全国32の地域生協で23年1~3月にかけてPB商品100品目を値下げした。生協グループが全国共通でPB商品を値下げするのは初めての取り組みだった。

イトーヨーカ堂は「セブン・ザ・プライス」と名づけた低価格志向に対応したPBの品揃えを強化している。規模の拡大でコストを下げるため、グループのセブン&イレブン・ジャパンとも協業する。

北海道・東北が地盤のアークスは、「生活防衛意識の高まりに対応することが最優先課題」(横山清会長)とし、共同仕入れ機構のシジシージャパン(CGC)のPBを積極的に売り込む。

調査会社のマイボイスコムによると、PB商品を購入した経験があると回答した人は全体の89%で、「週に1回以上」購入する人は38%を占めた。「週に1回」と答えたのが全体の21%、「週に2~3回」も13%にのぼり、家庭におけるPB商品の浸透ぶりがうかがえる。

また、PB商品を買う理由を聞いたところ、「コストパフォーマンスがいい」との答えが全体の50%を占め最多だった。「価格を抑えたい、安いものを買いたい」(45%)など節約傾向を反映した回答も上位に入った。

よく買う商品で最も多かったのが「インスタント食品・レトルト食品、料理の素」で、「お菓子・チルドデザート、アイス類」「調味料、たれ・ソース類、油」が続いた※。

※マイボイスコム「【プライベートブランド商品】に関するアンケート調査(第7回)」
https://www.myvoice.co.jp/biz/surveys/29308/index.html

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