スマホやネットは禁止!森の中でのびのび過ごす《ニュージーランド私立学校》の実態 在学中の"日本人高校生"にも話を聞いた

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授業の様子
授業の様子(画像:St Paul’s Collegiate School提供)

ニュージーランド大使館エデュケーション・ニュージーランド前駐日代表の北岡美佐子氏は次のように解説します。「ニュージーランドの私立教育のルーツには、農村部の家庭で育まれた実践的な教育があります。農家の子どもたちが働きながら学ぶスタイルが、そのまま教育哲学の中核になっているのです」。

アメリカやイギリスの私立学校が都市部の富裕層に支えられてきたのに対し、ニュージーランドの私立校の多くは19世紀後半から20世紀初頭に、農家(特に羊・牛の畜産)などの地域エリートによって支えられてきました。イギリスのパブリックスクールの影響を受けながらも、独自の進化を遂げてきたとのことです。

こうした地域社会に根ざした教育理念は、学力重視の詰め込み教育ではなく、人間形成に重点を置いた全人教育へとつながり、特にアウトドア教育、リーダーシップトレーニング、そしてTihoi Venture Schoolのような実践的な生活力を育むカリキュラムとして昇華されてきました。しかもその多くが「対話型」「体験型」であり、正解を求めるのではなく「自分で考える力」を鍛えていくのです。

こうした教育方針に惹かれて、近年ではアジアやヨーロッパからの留学生も増えており、日本からの関心も高まっています。

ニュージーランド教育の本質とは?

ニュージーランド教育関係者たちと
左から5番目がベン氏、次に筆者、北岡氏。右から2番目はISNZ代表のガイ・パスコー氏。ガイ氏は「日本の方々にもニュージーランドの私立教育ならではの価値を、もっと知っていただきたいと思っています」と語る(筆者撮影)

ニュージーランド教育の最大の魅力は、「子どもを信じて任せる」という文化にあると筆者は考えます。教師が一方的に知識を伝えるのではなく、生徒と共に学び、考え、成長していくパートナーとして存在しています。

ある意味「自由」とも言えますが、とはいえ、ただ放任するわけではありません。子どもが安心して挑戦できるよう、明確な枠組みやルールが設定され、その中で思う存分、試行錯誤することが推奨されています。

今回の取材を通じて、「教育とは何か」「学校とは何をする場所なのか」という根源的な問いを突き付けられたような気がしました。日本でも注目され始めたオルタナティブ教育のヒントが、南半球のこの国に詰まっているのかもしれません。

【もっと読む】【海外ハシゴ酒】50代筆者が"スペイン老舗バル"で「アウェイの空気」感じながら《1人飲み》に挑戦!モツ煮込みやコロッケでビールを嗜む至福 では、留学ソムリエ代表取締役の大川彰一氏が、スペインの首都マドリードと古都トレドで、計5軒のバルを巡りました。
大川 彰一 留学ソムリエ 代表取締役

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おおかわ しょういち / Shoichi Okawa

日本認定留学カウンセラー協会幹事、情報経営イノベーション専門職大学客員教授。1970年京都市生まれ。セールス&マーケティングに約10年間携わり、カナダに渡航。帰国後、留学カウンセラーとして4年間で約1000名以上の留学やワーキングホリデーに関わる。その後、米国の教育系NPOのアジア統括ディレクターとして約6年間、グローバル人材育成に尽力。海外インターンシップを大学の単位認定科目としての導入に成功、東北復興プロジェクト、アジアの国際協力プログラム開発にも携わる。現在は「留学ソムリエ®︎」として国際教育事業コンサルティングや留学の情報を発信。留学ソムリエの詳細はHPFacebookから。著書に『オトナ留学のススメ』(辰巳出版)。

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